私の仕事と、長女の塾の終わり時間が同じくらいなので、いつも一緒に帰る。
塾も職場も近いのである。
長女が大好きなYOASOBIの
『推しの子アイドル』
を一緒に歌いながら、2人して自転車で帰るのだ。
ちなみに『推し』とは、人に薦めたいと思うほどに応援しているアイドルを指すらしい。
2人で歌うとは言っても、父は歌詞を覚えていない。
だから、森のクマさんの二重奏のように、長女の後を追いかけて歌うのだ。
長女 はいはいあの子は特別です♪
父 はいはいあの子は特別です♪
長女 我々はハナからおまけです♪
父 我々はハナからおまけです♪
長女 お星様の引き立て役Bです♪
父 お星様の引き立て役Bです♪
長女 妬み嫉妬なんてないわけがない♪
父 ねたみ嫉妬なんてなーい♪
長女 ちがうで。妬み嫉妬なんてないわけがない♪
父 妬み嫉妬なんてあるわけなーい♪
長女 ちがうで。妬み嫉妬・・・・
間違えると、正しく歌えるまで訂正される。
歌詞の意味はさっぱり分からないけど、長女と一緒に歌えばいい唄だ。
私が思春期の頃に聞いていた音楽は、父親が
『ひとっつも意味がわからん』
と言っていたが、私もその齢になった。
車で保育園へ連れて行くときは、米津玄師のパプリカばっかり歌ってたなぁ。
2年くらい前までは、鬼滅の刃を毎日歌ったなぁ。
成長とともに歌う曲も変わってくる。
そんな長女が12歳になった。
長女が誕生日プレゼントに、渇望してきたものとは・・・
『ちゃお』の年間購読であった。
ちゃおは少女向けの月刊漫画雑誌。
他に、なにも望まないと強く決意した。
しかし、誕生日になにもないとさすが可哀想なので、
『なにか買ってあげるよ。』
と聞くと、かたくなにちゃおを買って貰ってるからいいと言う。
何度かプレゼントの話をしたら、
『じゃあ、日本史の勉強できる漫画とかクイズの本とかがえい。』
だそうな。
私が小学の頃の誕生日プレゼントなんて、毎年ファミコンのカセットばっかりだった。
私よりもしっかりしている長女なのだ。
思春期に突入しているお年頃だが。
私の『推しの子』は、いつまで一緒に歌いながら帰ってくれるかなぁ。