毎朝、娘を保育園へ連れて行く。
私の日課である。
保育園は朝8時までに子供を預ける場合、すべての子供が1階に集められる。
8時以降は、各組の部屋へ親が連れて行くというシステムだ。
娘の2歳組は、2階に部屋がある。
娘は2階の遊具がお気に入りで、2階が大好きだ。
2階へ行くには、グランドを通って建物の奥にある階段からあがる。
8時前に保育園へ到着しても、娘は泣きながら2階へ行きたいと私の手を引き志願する。
それを見た保育士さんが
『じゃあすぐに2階のお部屋をあけますね』
と苦笑いで言ってくださる。
困った娘である。
近頃、娘の2階に対する執着が、日に日に大きくなっている。
土曜日のことを考えると気が重い。
土曜日は子供の数が少ないので、閉園まで1階の部屋にすべての子供を集める。
2階は完全シャットアウトされている。
是が非でも、娘を1階の保育士さんに預けねばならぬ。
さて、決戦の土曜日。
案の定、娘は
『2階へ行く』
と言って、私の手をグイグイ階段の方向へ引っ張る。
私は目前にある1階の部屋へ、娘の手を引っ張る。
今日は知恵比べとはいかぬ。
肉弾戦である。
グランドの真ん中で、引っ張り合う父と娘。
うちの保育園へ来れば、週に6日間この光景が見られるはず。
他の保護者の方に見られると、めちゃんこ恥ずかしい。
今日は土曜日なので、2階で部屋があくのを待つ、
という選択肢はない。
娘は泣きながら、体を斜めにして体重をかけて引っ張る。
私はなだめながら、父の威信をかけて引っ張る。
最後はいつも娘に根負けする。
これ以上引っ張ると、娘の手が抜けそうだ。
『オーイ。オーイ。』
『こっちだよ~』
保育士さんと園児たちみんなが娘の名前を呼ぶ。
しかし、娘の決意は固い。
仕方なく無人の2階へ行く。
誰もいないので不思議そうにする娘。
『ほら~。誰もおらんよ。』
『センセーもお友達も下におるよ。下に行こう?』
それでも2階から降りようとはしない。
『オーイ。オーイ。』
『こっちだよ~』
園児が3人ほどグランドへでて、娘の名前を呼んで2階に手をふってくれている。
娘は良い友達に恵まれているようだ。
さて、ボチボチ仕事の時間が迫っている。
最後の手段。
娘を抱きおさえ、1階の部屋までダッシュε=┏( ・_・)┛
やはり娘は、釣った魚のようにピチピチと泣き暴れる。
1階に着いた。
保育士さんには申し訳ないが、大泣きで暴れる娘をなんとか預ける。
娘よ。
遊具もいいけど、お友達とも仲良くね ^ー^)人(^ー^
素敵な仲間じゃないか。
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