季節の変わり目

『うばい合えば足らぬ、分け合えばあまる』
 
 
という言葉をあいだみつをさんが残している。



家族でもそうありたいものだ。
 
 
 
この頃娘は、夜中にモゾモゾと起きて私の横に来て寝る。


『お父ちゃんが好きなんだな。可愛いやつめ。』


と思っていたが、内情は違った。


寒いのだ。


布団を奪いに来ていたのだ。


 

 

嫁はあっさり布団を渡すほど甘くない。


私はアッという間に娘から着ぐるみを剥がされる。


娘は布団を奪った後、体をローリングさせて布団を体に巻き付ける。


2歳のくせに鉄壁のディフェンスを身に付けている。


これでは奪い返しようがない。




3人ともベッドに夏用の冷感シーツを敷いている。


しかし、私の冷感シーツだけ安物なので、幸か不幸か温かい。


それにつられて娘が私のところにやってくる。


布団も奪えるし。




この日の最低気温は15度。日中は30度以上あったのに。


寒いわけだ。




明け方。


布団を奪われた私は、寒くて部屋のなかを探索した。


お目当ては娘のタオルケット。


しかし、刻すでに遅し。


嫁がいつの間にか、娘の置いていった戦利品(タオルケット)を自分のタオルケットの上に乗せている。




うらやましい。


眠気と寒さ、暗さと孤独が私を襲ってくる。


マッチ売りの少女になった気分だ。



押し入れを探したら、温かそうな毛布や布団があった。


しかし、まだ圧縮ケースにはいったままだ。


仕方なくタンスにあったジャージを着て、震えながら眠りについた。



こうして一家の長として、家族を寒さから護った。


私は寒さに震えながらも、誇らしく朝を迎えた。




みなさん。


季節の変わり目は風邪をひかないよう注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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