前回に続いて、やなせたかしさんの
『明日をひらく言葉』
という本から、今回は作者がアンパンマンに込めた想いを引用させて頂く。
●なぜアンパンだったか
1969年、雑誌に1年間大人向けの童話を連載したとき、アンパンマンも1篇書いた。
当時のアンパンマンは、パンを配るおじさんだった。
自分でパンを焼いているからマントも焦げだらけだ。
顔もハンサムじゃない。
空を飛んで行き、お腹のあたりからアンパンを取り出して子供たちに配る。
なぜアンパンだったか。
パンは外国、あんこは日本のもので、洋服を着ているが中身はまぎれもなく日本人と同じだ。
アンパンひとつで遭難者が命びろいすることがある。
食事にも、お菓子にもなる。
なによりおいしい。
●捨て身、献身の心なくして正義は行えない。
アンパンマンは自分の顔をちぎって人に食べさせる。
本人も傷つくんだけれど、それによって人を助ける。
そういう捨て身、献身の心なくしては、正義は行えない。
●善と悪はいつだって戦いながら共生している。
ばいきんまんの登場によって、アンパンマンにもうひとつのメッセージが生まれた。
『共生』だ。
ばい菌は食品の敵ではあるけれど、アンパンをつくるパンだって菌がないとつくれない。
助けられている面もあるのです。
つまり、敵だけど味方、味方だけれど敵。
善と悪はいつだって、戦いながら共生しているということです。
ばい菌が絶滅すればいいのかというと、実はダメなのだ。
人間も生きられなくなる。
敵対するものが共生していく。
それが人間の知恵のすばらしさなのである。
●悲しいとき、絶望しそうになったとき、握りこぶしをつくってください。
そして、その握りこぶしで涙を拭くのです。
そうすれば、もう一度生きてみよう、と立ち直ろうとする自分が、涙のなかから生まれてくるのです。
アンパンマンのキャラクター総数が2300を超え、ギネスに登録された。
キャラクターに共通しているのは、みんなしっかり手を握っていること。
力や気合をいれるとき、ぼくらは自然と手を握る。
涙がこぼれてきても、手の平で拭くのでは、弱い心を追い出せない。
しっかり手を握り、拳で涙を拭かなければダメだ。
キャラクターの手が拳になっていると、子供たちが似顔絵を書きやすいし、キャラクターグッズもつくりやすくなった。
いいことは、次から次へと連鎖していくのだ。
●相手がいろいろな武器を持っていても、アンパンマンはいつも素手で戦う。
これは、どんなときも自分の力で困難を乗り越えていく姿を示している。
そして、相手も徹底的に打ちのめさない。
得意技のアンパンチはふるうけれど、ばいきんまんは死ぬのではなく、自分の家に逃げ帰るだけだ。
排除はするけど、殺さないのだ。
本当は戦わずに、仲良くすればそれが一番だと思う。
以上、『明日をひらく言葉』からの引用でした。
なるほど~
アンパンマンにこんな深い哲理がこめられていたとは。
アンパンマンは、スペアの顔を沢山持ってパトロールに手掛けりゃいいのに。
とか
ばいきんまんは(顔が濡れやすい)雨の日にアンパンマンを倒しに行きゃいいのに。
なんて考えていた自分が恥ずかしい(ーー;)
アンパンマンにそのような合理性は皆無だ。
正義や慈愛という壮大なテーマを、うちの2歳の娘にもわかるように描いてくれているのだ。
ぜひみなさんも、この本を一読して、高知が生んだ大偉人の頭のなかを覗いてみてください。
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