褒めごろし

クリスマス会の朝。

 

 

 

ボチボチ出発の時間なのに、娘はどんぐりを手放さない。

 

 

ポケットに目一杯どんぐりを詰め込んで、

 

 

「保育園へ持っていく」

 

 

と言いだした。

 

 

 

 

「どんぐり置いていきや」

 

 

「この(おもちゃの)コップにいれちょって。」

 

 

と言っても、もちろん聞かない。

 

 

 

断固拒否である。

 

 

 

 

 

2歳のイヤイヤ期。

 

 

 

ご飯食べよっか。

 

 

服を着てね。

 

 

お風呂はいるで。

 

 

爪を切るよ。

 

 

歯ブラシするで。

 

 

ボチボチ寝るぞね。

 

 

 

ことごとくイヤイヤと逃げ回る。

 

 

 

 

 

1日に100回くらい叱りたくなる場面がある。

 

 

叱られると、娘は素直に聞けなくなる。

 

 

これは私に似たのだろう。

 

 

 

 

 

そこへ、クリスマス会へ一緒に行く嫁の母がやってきた。

 

 

「どんぐりキレイやねぇ。」

 

 

「このコップにいれるが?」

 

 

「凄いねぇ。できる?」

 

 

「お利口やねぇ。コップにどんぐりはいったねぇ。」

 

 

「できたねぇ。凄いねぇ。お利口やねぇ。」

 

 

 

 

嫁の母は、娘を褒めまくる。

 

 

このとき、実はどんぐりはまだポケットのなかだ。

 

 

でも嫁母の口車に乗せられ、次第に娘はどんぐりをコップにいれ始めた。

 

 

うまく乗せられた娘。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうしてほしい」

 

 

という希望をぶつけるのではなく、

 

 

 

「凄いね。できるね。ありがとう」

 

 

と褒めて、やる気を上手く引き出したのだ。

 

 

 

 

 

 

嫁の母が、娘から絶大な支持を得ている秘訣がわかった気がした。

 

 

 

 

2歳児であっても、

 

 

「まずは相手を肯定する」

 

 

 というコミュニケーションの原則が当てはまるのだ。

 

 

 

 

「悪い子やね。言うこと聞かんね (#`д´)」

 

 

と毎日言って育てるより

 

 

 

「良い子やね。お利口やね(人´∀`)

 

 

と褒めて育てる方がお利口になると思う。

 

 

 

ときにはガツンと叱るときも必要だが・・・

 

 

 

 

 

私が子供のとき、うちのおかんが

 

 

「アキラは凄いねぇ。」

 

 

「好き嫌いせんねぇ。」

 

 

「なんでも食べれるねぇ。」

 

 

 

と口癖のように言ってきた。

 

 

そう言われると、嫌いな野菜も残しにくいものである。

 

 

 

 

おかげで今では、カブの煮込んだやつ以外なんでも食べられる。

 

 

 

嫁の母もうちのおかんも、やはり私や嫁より2枚も3枚もうわてである。

 

 

 

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