温厚な人

怒りやすい人は、人格の完成にもっとも遠い。

 

 

となにかの本に書いてあった。

 

 

 

妙に納得して、温厚な人間になるよう心掛けてきた。

 

 

 

 

 

 

思い起こせば高校のとき。

 

 

 

こんな人間になりたいな。

 

と思える人がいた。

 

 

 

 

陸上部の先輩であるT先輩だ。

 

 

私がいた陸上部はかなりの強豪校。

 

 

そういうチームは必然的に先輩と後輩の上下関係は厳しくなる。

 

 

 

つまり、先輩は怖い人ばっか。

 

 

そんななか、T先輩だけは優しかった。

 

 

 

 

後輩に対して、オイコラ呼ばわりする先輩が大多数を占める。

 

 

 

そんななか、T先輩は後輩にもちゃんと

 

『ありがとう』

 

と、言ってくれる人であった。

 

 

 

まわりの同級生が、後輩をオイコラ呼ばわりしても、自分は決してしない。

 

 

まわりに流されない強さを、T先輩は持っていたのだ。

 

 

 

 

自分が先輩になったとき。

 

 

チームを運営していくなかで、後輩に厳しい人間も、優しい人間も必要なのだと気づいた。

 

 

 

でもやはり私は、T先輩のスタイルが好きだった。

 

 

 

 

小鳥や蝶々が寄ってくるような、優しいオーラに包まれた先輩であった。

 

 

 

 

よし決まった。

 

 

 

今年の目標は、T先輩のような温厚な人間になろう。

 

 

 

 

 

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