二人のおばちゃん

先日、実家の神田で赤ちゃん誕生のお祝いをした。

 

 

我が家のメンバーに加え、両親と姉、甥っ子、Tおばちゃんにも参加してもらった。

 

 

Tおばちゃんは、親父のお姉さん。

 

 

親父は7人兄弟の末っ子で、兄弟のなかで市内に住んでいるのはTおばちゃんと親父だけだ。

 

 

だから、盆や正月に田舎へ行くときは、Tおばちゃんもうちの車で一緒に行く。

 

 

 

 

 

Tおばちゃんにはずいぶん世話になった。

 

 

Tおばちゃんにはずいぶんお年玉をもらった。

 

 

Tおばちゃんは独身である。

 

 

 

だから子供のころ母に

 

 

『あんたらが大きくなったら、Tおばちゃんにお小遣いあげたり、お世話をせないかんで。』

 

 

と言われた。

 

 

 

私は十分大きくなり、腹が出て中年になったが、いまだTおばちゃんにお小遣いをあげる機会はない。

 

 

というか、今だに(うちの子に)お小遣いをくれる。

 

 

子供が産まれた。

 

 

子供の誕生日。

 

 

お年玉。

 

 

 

 

その度に恐縮だが、頂くことになる。

 

 

今回も誕生のお祝いを頂いた。

 

 

だからせめて、正月や祝い事のときには、Tおばちゃんにも参加してもらう。

 

 

Tおばちゃんは独り身だから、家族が集まる空間にはいてほしいのだ。

 

 

それが、少しでもTおばちゃんの癒しになれば嬉しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

母の妹、Sおばちゃんも独り身だ。

 

 

Sおばちゃんは学生時代から大阪在住。

 

 

 

 

 

Sおばちゃんにもずいぶん世話になった。

 

 

Sおばちゃんにもずいぶんお小遣いをもらった。

 

 

Sおばちゃんと、忘れられない思ひ出がある。

 

 

もう25年くらい前だろうか。

 

 

 

 

Sおばちゃんと母と姉と私で、ダイエーへ行ったときのお話。

 

 

 

その日は、2階のレストランでご飯を食べた。

 

 

入口にはハンバーグやエビフライのほかに、チョコパフェの食品サンプルもあった。

 

 

 

しかし、私と姉はまだパフェなるものを食べたことがなかった。

 

 

アイスでさえ簡単には買ってくれないうちの母。

 

 

パフェなどとうに諦めていた。

 

 

 

 

 

 

食後に、Sおばちゃんが

 

 

『あんたらパフェ食べる?』

 

 

と聞いてきた。

 

 

 

 

母が『いかん。いかん。』

 

 

と私や姉より早く返事したが、

 

 

 

『たまにはいいやんか。私がおごるわ。』

 

 

とSおばちゃんが押し切り、チョコパフェを2つ注文。

 

 

 

Sおばちゃんは、私と姉がパフェデビューだと知り、驚いていた。

 

 

 

私と姉は、一口一口味わってチョコパフェを堪能した。

 

 

びっくりするほどチョコパフェは美味かった。

 

 

 

 

 

いつの日か母に言われた。

 

 

『Sおばちゃんは独身やから、あんたらが大きくなったらSおばちゃんをお世話するがで。』

 

 

 

 

私は大きくなったら、Sおばちゃんにパフェをたらふく食べさせようと胸に誓った。

 

 

 

パフェデビューから25年経ち、私は大きくなり過ぎ、腹が出て中年となった。

 

 

 

しかし、いまだにSおばちゃんにパフェは奢っていない。

 

 

というか今だにお世話になりっぱなしだ。

 

 

大阪から帰省すると、うちの子供にお年玉やらプレゼントを頂く。

 

 

 

 

 

 

 

父の姉であるTおばちゃん。

 

 

母の妹であるSおばちゃん。

 

 

 

この二人に、今後どうやって恩返しをしていくか。

 

 

 

いま考えつくのは、少しでも会う機会をつくること。

 

 

私は幸い子宝に恵まれた。

 

 

騒がしいけれども、子供たちと会うのはパフェよりも嬉しいのではないかと思う。