人に伝えるということ③

3歳の長女はお手伝いが大好き。



夜に洗濯物を干すときも、お手伝いをしに飛んでくる。



乾燥機もあるけど、子供の服などは傷みやすいから雨の前の日は部屋干しするのだ。







長女『なんでこっちのお部屋で干すが?』



うむむ。



湿度が上がる。といえばいいか。




3歳児に湿度ってわかるかな?




空気が水っぽくなる。だとどうか。




こういうとき。




3歳児になんて説明すればいいか難しい。







空気中に水分があるなんて、3歳児に理解できるだろうか。





この質問にキチンと答えるには、なぜ濡れたタオルが乾くのか。




というメカニズムを解き放つ説明が必要であろう。




そのためには、水は氷や水蒸気など環境によって形を変える。



という説明もいる。




ならば、凝固・溶解・蒸発・液化というキーワードもいれなくては正確には説明できぬ。




さらに踏み込めば、



水の沸点は100℃なのに、なぜ常温で乾くのか。



という後に発生するであろう疑問に備え、先回りして回答してあげる説明が丁寧ではないか。




その疑問のヒントは、水素結合にある。





100℃で始まるのは沸騰であり、それは水の内部から気化が始まる現象である。



常温であっても、水の表面からは蒸発(気化)はするのである。




もう少しアカデミックに説明すれば、



水の表面はクラスター構造が相対的に形成しにくく、小さな単独の水分子になりやすい。



そのため沸点が低くても、常温で気体になりやすく・・・





はっ(゜o゜)



いかん。いかん。




説明は、シンプル イズ ベストという鉄則があるではないか。







私は長女の質問に数秒考え、



『湿気るやろ。』



とだけ答えた。



これ以上シンプルにはできぬ( ゚Д゚)






長女は『しける (・・? 』



とポカーンとした顔だ。





私『お母さんに聞いてみいや( `ー´)ノ』





長女『お母さん、どうしてこっちのお部屋で干すが?』




ヨメ『あっちのお部屋で干したら、おひな様にカビがきちゃうよ。』






なるほど~



さすがはヨメだ。



結果を先に言うパターンか。





3歳児がカビの存在を知っているか否かはおいといて。



カビが生えるメカニズムの説明は省いたようだ。




そして注目すべきは、長女が興味のある『おひな様』というキーワードをいれてきたのはポイントが高い。



これなら長女も納得である。





3歳児に水素結合の話は不要なのだ。







先ほどの水素結合のくだりはバカみたいな話だが、みなさんちょっと考えてほしい。




私達の生活しているいろんな場面で、専門用語を羅列した難しすぎる説明が多いのである。





これは以前、私のパソコンにでてきたエラーメッセージである。






家庭での使用を目的とした環境外で、ローカル管理者が既定エージェントを回復しようとしています。


このまま続行しますか?



【はい】  【いいえ】



□以後このメッセージを表示しない。








どうだろうか?



私にはさっぱり意味が分からない。





たくさん貰った保険のカタログも、




確定申告ソフトの音声ガイダンスも、




ビデオカメラの説明書も、




私には水素結合の話と同じである。





チンプンカンプンである。







自分の物わかりが悪いからこそ、人に説明するときは



『シンプルに解りやすく。』



と、心がける今日この頃である。