コンタクト

ある日、眼鏡をやめてコンタクトにしてみようと思った。

 

 

眼鏡は10年以上愛用している。

 

 

思い立って3日後、私は眼科にいた。

 

 

 

 

コンタクトの説明を受け、視力検査をして、コンタクトの種類を決めた。

 

 

あとはコンタクトを自分で装着する練習である。

 

 

これがなかなか難しい。

 

 

何回やっても『プルンッ』とコンタクトが裏返ってしまう。

 

 

その日は時間がなかったので、結局一度も成功することなく病院をあとにした。

 

 

 

 

その日の夜。

 

 

子供たちが寝静まったあと、装着の特訓をした。

 

 

しかし、何回やってもできない。

 

 

柔らかい素材のコンタクトにしたからだろうか?

 

 

頑張れ俺。

 

 

何度か練習しているうちに裏返ることはなくなった。

 

 

だが、何度やってもコンタクトが手から離れない。

 

 

なぜだ。潤いが足りないか?

 

 

洗浄液をたくさん着けてまたトライ。

 

 

 

 

そのとき、ちょうどテレビでオリンピックの女子レスリングをやっていた。

 

 

伊調選手の試合だった。

 

 

『頑張れ伊調。俺も頑張るぜ。

 

 

その時の私は伊調よりも頑張っていたに違いない。

 

 

 

 

努力の甲斐あってか、なんとか装着できた。

 

 

その後、練習を続けると徐々に装着できるようになってきた。

 

 

なんと、5分で両方とも装着できた。

 

 

ボルトもビックリ。 ォオ~!!(゚Д゚ノ)ノ

 

 

世界最速かも。

 

 

ちなみに、レスリングでコンタクトが外れた選手は、5秒で装着していた。

 

 

 

 

 

 

次の日。

 

 

朝のバタバタしている合間にササッと装着ができた。

 

 

コンタクトをつけての初仕事。

 

 

凄い。

 

 

オレ。

 

 

コンタクトしているオレ。現代人みたいや。

 

 

私は喜びを噛み締めた。

 

 

 

 

家に帰ると、いつも子供たちが私の元に走ってくる。

 

 

『見よってよ。お父さん目をのけるで。ほらっ』

 

 

私はコンタクトを外してみせた。

 

 

『ほよよ~。(*゚ロ゚)』

 

 

とウンチを見つけたアラレちゃんのように娘たちはポカーンとしていた。

 

 

 

 

その日の夜。

 

 

長女が寝る前に『スーッ』と近づいてきて、

 

 

『お父さん、私の目ものけて~。』

(人´∀`*)

 

 

と志願してきた。

 

 

なんと恐ろしいことを言うのだ、長女よ。

 

 

『よし。のけちゃお』

 

 

と言うと、

 

 

『やっぱり怖い~』

 

 

と走って逃げた。

 

Σ≡≡≡≡≡ヘ(; >д<)ノ ニゲロ~!!

 

 

 

 

 

その日から、私がコンタクトを外してると、

 

 

『ひゃ~怖い~』

ε=ε=ε=ε=ε=(;゚ロ゚)ダダダッ!!

 

と走っても逃げるようになった。