NHK制作のプロフェッショナルという番組。
医師や料理人、経営者、教師に農家・・・
そんな達人たちの日常を追跡し、彼らのこだわり成功の秘訣にせまる番組だ。
昼食を摂りながら、ipadでこの番組を見るのが私の日課である。
そんなプロフェッショナルたちのなかで、ひときわ凄いやつがいた。
日本料理人の山本征治である。
彼は自分の経営する日本料理店が閉店したあと、弟子たちと毎日朝まで料理の研究を重ねる。
毎日仮眠で仕事と研究を繰り返すのだ。
ナポレオンもビックリの睡眠時間である。
こういう人が歴史をつくるのだろう。
先人たちの智恵を乗り越える険しさに、彼は何度も心を崩壊されかけた。
歴代の料理人が編み出した調理法を超えるのが自分の使命だと彼は考える。
過去の偉大な先人が、現代の世にいたなら、もっと凄い料理を作っていたに違いないと彼は考える。
江戸時代に液体窒素や圧力鍋はなかったのだ。
カモ肉には独特の臭みがあるため、血抜きをするのが常識だ。
だが、彼は別の方法をとる。
科学実験用のオイルバス。
肉汁が外に逃げないギリギリの温度に設定し、血の旨みを最大限に引き出す。
そして、臭みだけを消すために炭火で焼き、わらの煙でカモ肉をいぶす。
こうして血の臭みをコクに変える。
素材を活かすため、強いソースは使わずにいかに臭みを消すかの戦いである。
現代の自分が、偉大な先人を超えるには、科学を駆使して全く新しい料理を築くしかない。
と彼は考える。
例えぼタケノコのあくの取り方。
これはもう米ぬかを使うとセオリーが決まっていて、みんなそのセオリーを疑ってこなかった。
だが彼はもっとタケノコの風味を逃さない方法があるはずだと思ったのだ。
米ぬかが方法が残ったということは、みんないろいろ試した結果、やっぱり米ぬかが一番良かったのだ。
だか、それを超えたい。
山本『ヌカのなかのカルシウムがシュウ酸に反応して中和して外にでるわけじゃん。米油じゃ無理かな。』
弟子『水溶性じゃなかったら・・・』
山本『そうだよな。水溶性じゃないと意味ないよな。』
とても料理人とは思えない会話である。
生のタケノコを皮ごと高温で揚げる。
さらに備長炭でとっただし汁を浸透させる。
備長炭との科学反応であくを弱めるのに成功した。
こうして彼は日夜、日本料理を進化させていくのだ。
私なんか、先人の偉大なカイロドクターが作り上げたものを学んでいくので精一杯である。
だが。
いつか。
私も自分が生きた証を残したい。
そんな仕事がしたい。
最後に山本征治さんの名言をご紹介する。
『進化こそ、今を生きる者の使命』
だそうです。