しあわせの赤い芋ジャージ

私は夜パジャマを着ない。

 

 

夏はTシャツ・他の季節はジャージを着て寝る。

 

 

 

 

 

 

今から10年以上前。

 

 

当時、整体を開業したばかりの私は、とにかく財政難であった。

 

 

しかし、ジャージが足りない。

 

 

ジャージを買わねば、恐らくこの冬は越せないだろう。

 

 

 

 

そんな折、古着屋で赤い芋ジャージを見つけた。

 

 

※芋とは田舎っぽい、ダサいという意味。イモいとも言ふ。

 

 

 

 

試着してみるとジャストフィット。

 

 

私のようなナウいシティボーイが着るようなジャージではないが、背に腹は代えられない。

 

 

500円だったので即購入した。

 

 

赤い芋ジャージはそのあと快進撃を続け、現在まで使っている。

 

 

アディダスやらなんやら、芋ジャージの10倍くらいする値段で購入したジャージ達が次々と脱落するなか、赤い芋ジャージは丈夫に着続け生き残った。

 

 

ドラフト4位で入団して大活躍したイチローのような働きっぷりである。

 

 

 

 

 

それから10年以上たったある日。

 

 

つい先日のお話。

 

 

某スポーツ店で一目惚れしたジャージがあり、購入した。

 

 

青いアディダスだ。

 

 

着心地も良いし、何よりデザインが良い。

 

 

鮮やかなブルー。

 

 

しなやかな腕のライン。

 

 

機能的かつスタイリッシュなチャック。

 

 

ちょっとしたパーティなら着ていけるくらいのジャージである。

 

 

 

 

久しぶりに大型新人発掘。

 

 

意気揚々と青いジャージを持って帰った。

 

 

とりあえず青いジャージは一旦洗濯して、今日は赤いジャージを着よう・・・

 

 

と赤いジャージを羽織ってチャックをしめたとき。

 

 

チャックがポロッと取れた。

 

 

Σ(゚д゚lll)ガーン

 

 

つまみの部分ではなく、ジョイントの金具が壊れてしまったのだ。

 

Σ(゚д゚lll)ガーン

 

 

 

1766試合連続出場し、鉄人と称された金本知憲ばりに、10年間フル稼働していた赤いジャージ。

 

 

嵐の日でもビクともしなかったのに。

 

 

 

 

私が別のジャージにうつつを抜かしたのが気に障ったのだろうか。

 

 

それとも、自分の後釜が入団したので安心して逝ったのか。

 

 

 

 

私は後者だと思いたい。

 

 

赤い芋ジャージよ。

 

 

長い間ありがとう。

 

 

赤い芋ジャージよ。フォーエバー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、赤い芋ジャージはまだ着ているのであった。