あるお休みの日。
午前中に家の用事をすませ、一旦お店へ荷物を置きに来た。
お店の留守電をみたら、フリーダイヤルから3件着信があった。
掛け直してみたら、ある大手保険会社だった。
なんでも、あるお客様が損害を受けたとかケガをしたとかで、うちのお店に電話してきたそうだ。
詳しいことは担当者に説明させるとの事。
担当者はお昼にでていて、13時半に帰ってくるそうだ。
そのとき時間は12時過ぎ。
まだ1時間以上ある。
なんかソワソワする。
その保険会社とは私はなんの取引もない。
生命保険も、車の保険も、火災保険も、学資保険もこの会社とは違う。
ではなぜうちに電話してきたか?
『なんかお客さんがケガをして損害の件でうちに電話してきたとか言ってたな・・・』
なんかゾクゾクしてきた。
『それって・・・。私が仕事でお客さんをケガをさせて、損害賠償の件でお店に電話をしてきたってことでは?』
留守電で『今日は休みだ』って言っているのに、3回も電話してきている。よほどの重大な用件なのでは?
妄想がふくらむ。
どんどんネガティブになる。
いや、真実を聞いたときに冷静でいられるよう、最悪の事態を想定しているのだ。
スポーツジムに行こうと思ったけど、電話がくるまでは行けない。
とんかつを食べようと思ったけど、そんな食欲はなくなった。
うどんにしておこう。
なんかゲンナリしてきた。
うどんを食べた後、電話がかかってきた。
例の保険会社からだ。
『坂本さんすみません。わざわざこちらにお電話いただいていたようで。』
『お客様が記入したお電話番号に間違いがあって、そちらにお電話してしまいました。申し訳ございませんでした。』
間違い電話だった。
用件は1分で終わった。
全面無罪であった。
人間は放っておくとネガティブになるらしい。
なにかの本に書いていたが、自分が恐れているほどのことは起こらないのだという。
目に見えないものを、ありもしないものに怯え恐怖するのが人間なのだ。
その日の夕方。
5歳の長女と2歳の次女を連れて、インフルエンザの予防接種に行った。
『ねぇ注射?注射するが?注射なが?』
長女は戦々恐々である。
案の定、注射した後、長女は大泣き。
その後1時間大粒の涙をながした。
˚‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚
だが次女は違った。
注射をした後もケロッとしている。
多分、注射されたことすら気付いてない。
腕がチクッとしただけだ。
長女も腕がチクッとしたくらいのはずなのに、針を抜いた後は痛くないはずなのに泣いている。
針の恐怖心で痛みを何倍にも感じているのだ。
僅かな痛みに怯え、ありもしない痛みを感じるのが人間なのだ。
自分の患者さんをみていてもつくづく思う。
最初の痛みと比べて
『痛みが減った(*^^)v』
と喜んでいる人と、
『まだ痛みが残っている。』
と思う人。
やはり前向きな人の方が、そこから先の回復力が早い。