最強の格闘技はなにか?
それを決めるべく、空手・合気道・古武術・ボクシング・相撲・柔道・プロレス・拳法などの達人を一同に集め、最強を決めるトーナメントを開催。
そんな夢のような漫画が『喧嘩稼業』だ。
作中で、二人の男が登場する。
上杉は空手一筋の男。50歳くらい。
里見は20代後半くらいで、上杉の空手道場を飛び出し、拳法やその他の格闘技を組み合わせ最強を目指す。
そんな二人の会話。
里見『柔道、合気道、空手道。一つの道を極めた先に最強はあるのか?
里見『あるわけがない。他競技、他流派のいいものを私は取り入れる。』
里見『打撃、投げ、関節のすべてを学んだうえで、己の資質にあった格闘技を選択し取り入れる。その先に最強はある。』
上杉『(里見は空手で)伸び悩み壁に当たっていた。』
上杉『そんなタイミングで新しいものに出会い、惹かれただけだ。』
つまり、若い里見は幅広くなんでも取り入れ、いいとこどりをするのが最善、と考える。
上杉は空手こそ最強、空手を極めた先にこそ最強があると、信じて疑わない。
この二人の言いたいことは、痛いほどよく分かる。
数年前の私は、里見と全く同じ考えだった。
整体院を開業し、整体と名の付くものは古今東西のありとあらゆるものを勉強した。
自宅に眠るセミナーDVDの数は800を超える。
しかし、それは技の数が増えただけ。
一流には程遠い。
そんななか出会ったのが本物のカイロプラクティック。
日本のカイロプラクティックの学校で教えられているものとは、まるで次元の違うカイロプラクティック。
東京で本物に触れ、頭にカミナリが落ちた。
これを極めるのに一生を捧げようと決心した。
800のDVDはすべて御蔵入りにした。
もう必要ない。
昔の私は上手くいかない時、次の新しい技を探した。
今の私は上手くいかない時、カイロプラクティックを基本から勉強し直す。
技の数ではなく、技の精度が大事なのだ。
精度を上げるには、脇目もふらずその習得に取り組む鍛錬が必要だ。
こっちがダメだならこっち、と考えている時点で技の精度は下がる。
『いいとこどり。』では絶対に到達出来ない領域がある。
少年の頃に出会った空手道を、一途に突き詰めた上杉。
幅広く格闘技に精通し、器用に使い分ける里見。
いろいろ学んだ結果、カイロプラクティック一つに絞った坂本。
果たして誰が最強を手にするのか。