我が家にもバブルがやってきた。
バブルといっても、札束のお風呂に入ったり、一万円札を振りかざしてタクシーを呼びとめるわけではない。
正確にいえば、我が家というより私個人に、ある日突然バブルがやってきた。
さらに正確にいえば、バブルがきたのではなく、バブル時代のような髪型にされたのだ。
ざっくりいえば、散髪屋で、もみあげをテクノカットにされたのだ。
そう。
バブル時代に流行ったテクノカット。
我が家には、私のもみあげ部分だけバブルがきたのだ。
テクノカットをwikiしてみたら、
『テクノカットはもみあげを鋭角に剃り整え、襟足を刈り上げた髪型である。1980年代に流行した。』
と書いてある。
分かりやすく言えば、オードリーの春日氏と同じもみあげ。
これを極端にやると、北朝鮮の総書記と同じヘアースタイルとなる。
数日前のある日、散髪へ行った。
カットが終わり、最後に美容師さんは私のもみあげを丹念に削り出した。
プレスリーのごとく、私のもみあげを尖らせていく。
すると、不安そうな私をみて、美容師さんはこう言った。
美容師さん『もみあげ、真っ直ぐにします。?』
坂本『は…はい。』
もみあげは尖らせる必要はない。
普通でよい。
そのつもりで、真っ直ぐでOKと言った。
次の瞬間、美容師さんはもみあげをジョリッと切り落とした。
Σ(°□°´Ⅲ)んなっ!!!?
テクノカットの出来上がり。
真っ直ぐって、耳から真っ直ぐってことやったんかい。
テクノカットのことやったんかい。
この美容師さんがバブル時代の人だと計算にいれてなかった。
辛気臭い顔をしていた私に、
『せめて、もみあげくらいはバブリーにしろよ。』
という、美容師さんの粋な計らいだったのかもしれない。
テクノカットにしたのは20年ぶり。
高校生以来だ。
もみあげだけでなく、私に本物のバブルが来る日はあるのだろうか。