2年くらい前に、長女に自転車を買った。
それっきりほとんど乗せる機会がなかった。
私は土日もお仕事。
毎日、仕事で夜に暗くなってから帰る。
ヨメもお仕事をしていて忙しいし、休みの日は買い物やら何やら用事がある。
さらに自転車を買った頃は、次女が赤ちゃんだった。
たから、長女を自転車に乗せる機会がなかった。
それからズルズルと2年が経った。
長女はもう保育園の年長さんだ。
結局のところ補助輪つきの自転車を買ってから、長女が乗ったのは2~3回しか記憶にない。
2~3回といえば、私が自分の学習机に座った回数とほぼ同じである。
これはヤバイ。
今のうちに乗せておかねば。
補助輪装着でさえほとんど乗せていないので、このままでは補助輪なしで乗れるなんて夢のまた夢。
『いつか特訓せねば。』という危惧があった。
ある日の水曜日。
自転車屋さんで、2~3回しか使っていない補助輪を外してもらった。
その日は私もヨメもお仕事が休み。
この日を逃してなるか。
強化合宿である。
特訓である。
私『今日、自転車の練習するでっ。』
と言うと、長女も飛び上がって喜んだ。
次女のお世話はヨメに任せて、特訓である。
特訓の場は家の前の空き地。
『長女が泣き言を言っても知らん。』
『乗れるまでスパルタで練習するぜ。』
『体育会系で育った父の厳しさを、今こそ教えてやる。』
と、鼻息荒く始めたのであったが。
開始わずか5分でヘバッたのは、やはり私であった。
なんせ中腰になって、自転車を支えて何度もダッシュするのである。
しかも7月である。
長女『ほら、お父さんもう一回やるで~。』
私『はぁはぁ。(°m°;)ちょっと、休憩。』
長女『お父さん早く早く~ヾ(*´Ο`*)/』
フラフラしながらも、長女は力一杯ペダルをこいだ。
でも、フラフラしてすぐに足をついてしまう。
こぐ事よりも、こけた時の怖さが上回っているのだ。
だから、柔道ではまず受け身を覚える。
投げられた時に怪我をしないためと、投げられる恐怖を克服するため。
だったと思う。
スキーも一緒。
ビギナーにはまず正しいこけ方を教える。
バランスを崩したときは、体をパタンと横に倒すと足を捻らずにすむ。
たぶん。
長女にはまずコケそうになったら、ブレーキをして、すぐに足を地面に付けるべし。
と教えた。
これで繰り返し繰り返し練習。
長女はひたすらペダルをふむ。
私はひたすら後ろから押す。
押すというか、腕力で自転車のバランスをとる。
7月に、走りながら、中腰になって、腕力で自転車を支える。
これはかなりヘビーな運動である。
汗が噴き出す。
スラムダンクで言うと、試合中の流川君くらい汗だくである。
その甲斐もあってか、徐々に長女がコツを掴み始めた。
スピードが出たほうがフラフラせずに安定すると気づいてきたようだ。
近所の小学のお姉ちゃんたちも、特訓の様子を見にきた。
私『試しにお父さんが手を放すき、自分で漕いでみて。』
私『最初は3回でっ!よーし!それ~』
いーち、にーい、
あー惜しい。もう一回。
とかやっているうちに、10回まで自分でこげるようになった。
本当は自転車の横で並走しながら、私が片手で自転車を支えているのだが。
長女はそれに気づかず、支えなしだと思っている。
子供は自立しているつもりでも、親が支えているものである。
長女『お父しゃん、14回も自分でこげたで~』
ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
私『よし、じゃあお母さんに見せちゃろう。』
ヨメと次女を広場まで連れてきた。
今日一日の成果をヨメにも見せよう。
私『よっしゃ行くで~。せーの』
ヨメの前ではフラフラしていたけど、なんとか10回くらいは手放し風でこげた。
特訓前よりは飛躍的な進歩だ。
あとからヨメに
『自転車屋さんが、練習のときは後ろから押さんほうが良いと言ってなかった?』
『まずはペダルをこぐより、足で地面を蹴って前に進ませたら良いって。』
Σ(゚д゚lll)ガーン
全くサッパリこれっぽっちも聞いてなかった。
私はなんでも自己流にはしる傾向があるが、今回もそれがでてしまった。
まぁいっか。
次は地面のキックから教えよう。
私と長女がかいた汗はきっと無駄ではないはず。
『遠回りをした方が、習得に苦労した方が、深く学べる。』
というのはカイロプラクティックの講習でよく聞く言葉である。
私は人一倍、基本の習得に時間がかかる方だ。
でも、試行錯誤した時間が長い分、応用は効く方だ。
たぶん。
その日の夜。
長女が私の枕元にきてささやいた。
長女『お父さん、自転車押してくれてありがとう。』
泣かせること言うぢゃねーか。
自転車くらい押してやる。
大人になって、いつか迷いがでたときは、背中も押してやるさ。