今年もこの日がやってきた。
大運動会の日だ。
長女のかけっこは4人で走る。
長女と同じ組みのなかに、保育園で一番速い子がいるのだ。
うちの長女が保育園で2番目に速い。(たぶん)
そのランキング1位と2位が、かけっこで激突するのだ。
夏の高校野球大阪予選1回戦で、いきなり大阪桐蔭と履正社が激突した以来の衝撃である。
長女にとっては保育園で最後の運動会。
ここで決着をつけろという思し召しに違いない。
とは言っても相手は絶対王者。
案の定、長女は練習では一度も勝てなかったよーだ。
小運動会でも負けている。
なんせ一番早い子とは、走っているときの迫力が違う。
走力では負けているので、作戦で勝つしかない。
急遽、家族会議を決行。
絵本の周りにキティちゃんのおもちゃをおいて、いかにスタートが大事か、インコースが有利かを説明した。
狭いグラウンドでは先手必勝が大事なのだ。
そして本番当日。
当日の朝も、念を押してスタートダッシュの練習をした。
いよいよ長女のかけっこ。
長女の出番。
ヨーイ。パン!!
長女がスタートダッシュで前にでた。
スタートではみんなインコースを狙うので、肩がぶつかり合う。
そうなると引いてしまう人もいるが、 長女は引かずに前へ出てトップをとった。
私『よっしゃ!!』
トップのまま加速する長女。
これではなかなか抜かれない。
作戦成功。
途中で抜かれそうになったが、なんとか持ちこたえた。
最後の直線。
ゴールテープまであと3メートル。
ここで勝負の神様が動いた。
猛追してきたライバルの子が転倒したのだ。
そして、コケた子の手が長女の足に当たって靴が脱げた。
脱げた靴は『ポーン』とゴールテープの下に転がった。
なにを思ったか。
長女はゴールテープの手前2センチで急ブレーキをかけ、脱げた靴を拾った。
おいおいおいおい!!!!!!(゚ロ゚屮)屮
ゴールテープをギリギリでしゃがんでよけ、靴を拾った。
その間にうしろの子が次々とゴール。
一生懸命に走ったのだけれど、最後は大事な靴を慌てて拾ったのだ。
ゴール直前でレースを放り出して、健気に靴を拾うさまは私とヨメの爆笑を誘った。
靴を拾うさまは、とってもチャーミングであった。
ビデオをスローで見ても、長女が1位だったか2位だったか、はたまた3位だったか分からない。
1位でゴールテープを切ったような。
切ってないような。
スローで見てもよく分からない。
ゴールラインは1位でまたいだ気がする。
だが、一位だっかたどうかは、もはやどうでも良いと思えるほど面白かった。
この子はいつも私の想像をこえてくる。
長女には勝負の神様ではなく、笑いの神様がついていると確信した出来事であった。
その日のお風呂にて。
長女が名言をはいた。
長女『お父さん、あたし、頑張ったら勝てるがやって分かった。』
この一言に100の価値がある。
『頑張ればうまくいく』
たったこれだけのことを、私は長女に伝えたかった。
でも言葉で言っても伝わらない。
本当に理解するには、自分で体験するしかないのだ。
20年かけて伝えようと思っていたことを、長女は6年で、自力で理解した。
こんな体験ができて長女は幸せである。
会場の笑いもとったし、最高だ。