先日、テレビでM-1をやっていた。
M-1は、言わずと知れた漫才の日本一を決定するコンテストだ。
決勝に残っていた10組は、すでに売れているコンビもあれば、無名のコンビもある。
いずれにしても優勝したコンビには仕事が殺到し、ほとんどのコンビがスターダムへとのし上がる。
肝心の漫才のネタは、子供がほたくり回っていたので、一切聞こえなかった。
でも、とにかくM-1を観ていた。
ジャルジャルというコンビが、予選ラウンドで敗退した。
目には涙をためているのを気付かれないように、司会者のインタビューに答えていたのが印象的だった。
お笑い芸人はテレビでは泣いてはいけないのが鉄則。
なぜなら泣いていた印象が残ってしまうと、次から笑いをとりにくいから。
だから彼等も必死に悔し涙をこらえていたが、それでも涙は溢れてくる。
彼等にとって、どれくらいの強い思いでこの大舞台にたったのか痛いほど分かる。
チャラい芸人だと思っていた彼等を、私は見直した。
少なくとも、いまの自分よりは彼等の方が闘っている。
そう思った。
いまの自分はどうか?
うーん。泣くような思いはしていない。
お笑い芸人のなにが凄いって、自分たちでネタを作るのが凄い。
M-1で優勝したネタを、別のコンビが丸々コピーしても、笑いはおきない。
そもそも批判されるだろう。
自分たちで頭を絞ってネタを作るのだ。
これは物凄いことだ。
これは私の仕事より、2段も3段もクリエイティブさが要求される。
ここだけの話だが、カイロプラクティックは私が発明したわけではない。
ある凄い先人がカイロプラクティックを発明し、更にいろんな先人たちが理論とテクニックを改良していった。
それを私は勉強してマネをして、現在商売をしている。
私の仕事は一流の人がやっていることを、マネさえ出来れば成り立つのである。
1から自分で編み出したわけではない。
でも芸人さんは先人たちのマネをするだけではダメ。
自分のアイデアで、漫才やコントを作っていかないとダメだのだ。
物凄く厳しい世界だ。
結局M-1は、とろサーモンというコンビが優勝した。
彼等もまた、優勝した後に泣いていた。
彼等も懸命にネタを考え、稽古をして、激戦を勝ち抜いたのだろう。
やはり闘う人は美しい。
私も涙が出るくらい闘わねば。
ちなみに。
記念すべきM-1グランプリ第1回で、断トツの最下位となった不名誉なコンビがある。
過去歴代をみても断トツに点数が低い。
彼等はいまどうしているだろうか?
実は超売れっ子になっている。
歴代のM-1優勝コンビよりもお茶の間ではよく目にするコンビだ。
『おぎやはぎ』である。
彼等にとって、あの大舞台での断トツ最下位は、生きる気力を失うくらいキツかったに違いない。
大御所の審査員からはネタを否定され、テレビで面白くないコンビと烙印を押され、大恥をかいた。
でも彼等はそこから這い上がった。
一度や二度こけても。
長く芽がでなくても。
本当に力のある人は必ず世にでてくる。