くるりんぱ

 

長女とは4年間、欠かさずくるりんぱをした。

 

 

毎朝保育園へ送ったときに、長女とは『くるりんぱ』をするのがここ数年の日課となった。

 

 

雨の日も。

 

 

風の日も。

 

 

私がどんなに急いでいてもだ。

 

 

 

 

くるりんぱって、何かって?

 

 

一応分からない方のために説明しておこう。

 

 

私と長女が向き合って、お互いの両手をとり、 長女が『くるん』とバク転をするのを『くるりんぱ』と私は呼ぶ。

 

 

要は私の手を持って、逆上がりするのである。

 

 

 

 

2歳3歳のときは、私のひざを踏み台にしてくるりんぱ。

 

 

4歳5歳からは、自分の脚力だけで『くるん』と一周できるようになった。

 

 

6歳のときには、長女の足が私のあごに到達できるほど高く跳躍できるようになった。

 

 

毎日の鍛錬のおかげで、長女は鉄棒が得意になった。

 

 

逆上がりで連続してグルグル回れるようになり、鉄棒ではみんなのお手本をしたという。

 

 

 

 

 

長女はなにかルーティーンを始めると辞められなくなるたちだ。

 

 

例えば次女を保育園に預けた後、自分の組へ移動するときは肩車。

 

 

これもいつの頃からか、もう1年以上毎日続けた。

 

 

毎日だ。

 

 

 

 

 

 

卒園式が終わり、

 

 

何度か保育園へ行き、

 

 

最後の保育園の日。

 

 

相変わらず肩車をして長女の組まで来た。

 

 

いよいよ最後のくるりんぱ。

 

 

 

 

 

この日はくるりんぱ3連続。

 

 

最後のくるりんぱは『フワッ』と高く飛んで、私のあごにつま先がヒットしたくらいだ。

 

 

躍動感のある見事なくるりんぱであった。

 

 

こんなに高く飛べるようになった。

 

 

くるりんぱで長女の成長を日々感じてきたのだ。

 

 

 

 

 

 

4月2日。

 

 

この日から長女は、入学式までは小学校の学童で預かってもらう。

 

 

嫁さんが次女を保育園へ連れていき、私が長女を連れて小学校へ。

 

 

 

 

 

学童へ行くと、泣き叫んで親にしがみつく新一年生もいた。

 

 

うちの子は平気だ。

 

 

なんせ待ち焦がれた小学校だ。

 

 

なんせ前日から『ともだち100人できるかな』の歌を次女と大合唱していた。

 

 

3月末に学童の説明会があったが、その時点でもうお友達を作っている。

 

 

私より友達をつくる才能は100倍ある。

 

 

 

 

小学校ではさすがに『くるりんぱ』はしないだろう。

 

 

でも、長女はしたいんじゃないか。

 

 

4年間も毎日したんだ。

 

 

しても問題ないじゃないか。

 

 

むしろ、しない方が不自然じゃないか。

 

 

 

 

 

 

長女を学童に預け、去り際に思わず

 

 

私『くるりんぱする?』

 

 

と長女に聞いたら

 

 

長女『もうかまん。』

 

 

と断られた。

 

 

せ・・切ない。∑(゚□゚;)ガーン

 

 

 

 

親よりも、子供の方が成長が早い。

 

 

子離れよりも、親離れの方が早い。

 

 

く・・くるりんぱ・・したかった。

 

 

くるりんぱを毎日楽しみにしていたのは、私の方だったのだ。

 

 

 

 

 

くるりんぱをしない朝は、なんて物足りないのだ。

 

 

くるりんぱをするために、仕事を頑張ってきたのに。

 

 

 

 

仕方ない。

 

 

3歳の次女にくるりんぱを仕込もう。

 

 

あと3年は相手してくれるだろう。