ゴールデンウィークに兵庫の須磨水族園へ行ってきた。
一通り館内を回ったあと、お昼にフードコートへ行くと、若い大道芸人がパフォーマンスをしていたのである。
汗をかきながら一生懸命パフォーマンスする彼を見て、私は心地よい感動に包まれた。
水晶やジャグリングのテクニックも去ることながら、客を集めるトーク力や拍手の催促が卓越していたのだ。
彼はジャグリングで日本一を獲ったそうだ。
うちのお子ちゃま達も大喜び。
驚くべきことに、年齢は16歳。
アクシデントや失敗もすべて笑いに変えていた。
失敗だったのか元々のネタだったのか分からないくらいだ。
相当場数をこなしているに違いない。
大道芸人の名前はハンド。
繰り返しになるが16歳だ。
彼は15歳からジャグリングで生計を立てていて、すでに一人暮らしをしているそうだ。
私の16歳の時とは随分違う。
最後に。
観客に向かって
『お金をください。』
と言っていた。
これを言えるかどうかでプロとアマを分けるのだ。
ちゃんと工夫して嫌味なく『お金ください』を笑いに変えて観客に伝えていた。
『今から大事な話をしますね。外人さんも多いので英語で言います。』
『プリーズ マネー ミー!!』
まずここで軽く笑いをとった。
日本語で『いきなりお金をください。』といえば重い。
だから英語で笑いをとりながら説明した。
『僕たち大道芸人は、遊園地や水族館から出演料をもらっているわけではありません。』
『皆さんにいただくお金だけが給料となり、生活費となります。』
『コインだと帰りが重たいので、お札だと助かります。』
ここでもうひと笑い。
笑いを誘いながら、とても大事なことを伝えているのだ。
そこまで説明しないと、私だって彼のマジックハットに入れる額は、100円とか500円で十分だろうと思ったかもしれない。
だがこの仕事は、それでは成立しないのだ。
恐らく週末か連休しか仕事がないから、コインではとても足りないのだろう。
16歳の少年が、連休を使って趣味のジャグリングを披露していても私は感動しない。
16歳の彼がこんな大勢の大人の前で、一人で、汗だくで勝負して、生計をたてているのだ。
勝負しているのはパフォーマンスだけでない。
営業トークもだ。
私が感動をしたのはむしろ営業トークの方。
パフォーマンスとトークの出来で、その日の握りが変わる。
パフォーマンスを見終わったうちの子供たちは、目を輝かせていた。
お子ちゃま二人が、千円ずつ大道芸人のハンド君にパフォーマン料をお渡しした。
大道芸を見た後は、
『お父さんがマジシャンやったら良かったのに。』
┐(´ー`)┌
と長女が言っていた。
そのあとイルカのショーを見に行った。
これも素晴らしかった。
イルカショーを見た後は
『お父さんが、イルカの先生(調教師)やったら良かった。』
┐(´ー`)┌
と残念そうに次女に言われた。
いつか。
すんごいカイロプラクターになるから。
父の背中を見ていなさい。