小学2年の長女に、読書感想文用の本を買った。
タイトルは『魔女ののろい飴』
話の概要はこうだ。
主人公サキがお姉ちゃんの愚痴を言いながら歩いていると、道端で呪いの飴を売っている魔女がいた。
なんでも、お姉ちゃんの悪口を10個唱えながら飴を練ると、呪いの飴ができるそう。
サキは悪口を言いながらも、お姉ちゃんの優しいところも思い出して口ずさみながら飴を練った。
結果、呪いではなく普通の美味しい飴ができてしまった。
こんな感じ。
読書感想文というのは、低学年の場合、親が手助けをしてあげないといけない宿題である。
私は長女のノートに
『なぜあの時、お姉ちゃんは怒らなかったか?』
『なぜ飴を食べても気絶しなかったか?』
『自分だったらどうしたか?』
と、いくつか感想文のヒントとなりそうな質問を書いておいた。
しかし、作戦は失敗であった。
私はりんごのアメが食べたいとか、おおよそ本の主旨とは違うことを書いてあった。
仕方ない。
私が絶妙なトスをあげるしかない。
長女と会話しながら、長女の言葉にならない声を引き出していく作戦だ。
私『サキにとって、お姉ちゃんはすぐ怒ったり、いばりんぼうだけど、優しくて強いところもあるんやね。』
私『だから・・・』
長女『だから?』
私『私も・・・』
長女『わたしも?』
私『こんな優しい・・・』
長女『こんな優しい?』
長女『あそっか。こんな優しいお姉ちゃんになりたいと思いました。』
さすがお父さん。(*´▽`人)
そう言いながら、長女はノートに、
『だから私もこんな優しいお姉ちゃんになりたいと思いました。』
と書いた。
私はトスをあげているだけだ。
フィニッシュしているのはあくまで長女だ。
決して誘導尋問ではない。
いや。本当にそうなのか。
私は長女のポテンシャルを引き出しているのか。
悩むところだ。
今なら船場吉兆の女将の気持ちがわかる。
食品表示偽装の記者会見で、横にいた息子に
『頭が真っ白になった(と言いなさい)』
とささやいて、スターダムにのし上がった例の女将だ。
長女がノートから原稿用紙に書き写した文章を読んでみると、
『だから、わたしも、こんな、優しい、お姉ちゃんに、なりたいです。』
音読すると、まるでいっこく堂が読んでいるようだ。
私が文章を校正し、ヨメさんが清書をして、それを長女が原稿用紙に書き直した。
こんなに家族で力を合わせたのは初めてだ。
この夏休みで、家族の絆を再確認できた。
この読書感想文が、万が一なにかの賞を受賞して、ポッキー1年分とか送られてきたら・・・
しかるべき所に寄付しようと思う。