スポーツジムではほとんど走ってばかりいた。
ランニングマシンに乗って50分。
この50分を何キロ走れるかで、自分のコンディションを計れるのだ。
体が温まってくれば、少しずつペースを上げていく。
調子が良ければどんどんペースアップしていき、最後はダッシュになる。
ダッシュと言っても、高校時代の陸上部の朝練より遅いペースなので、とてもセンチメンタルな気分になる。
今から1ヶ月前。
その日はなぜか体が軽く、いつもより早い段階でペースアップ。
いつもならラスト10分で走るラストスパートのペースまで序盤であげた。
その後もぐんぐんペースアップ。
私は明らかに過去最高記録を狙っていた。
私は決めていた。
ジムで走るのは今日で最後だ。
最後と決めていたこの日に、最高記録を出して締めくくる。
そう決めた。
頭のなかではいつも、箱根駅伝のアンカーを任された自分を妄想して走る。
もっと早く。
もっと。
私は限界までペースを上げた。
この日も15人抜きの区間記録を打ち出して、トップでゴールした。
ランニングマシンも過去最高を記録した。
お世話になったスポーツジム。
もう名残惜しくはない。
またいつか。
平穏な世界が戻ったときに帰ってくるぜ。