父の日には、いつも義父のお気に入りの焼酎を買う。
お義父さん曰く、その焼酎は
『土曜の朝、あるスーパーで並んで抽選に当たった人だけが購入できる』
というプレミアムな焼酎。
そんなプレミアムな焼酎を毎年渡すので、とても感謝される。
まさか、私が毎年Amazonで楽チンに購入しているとは夢にも思うまい。
お義父さんはきっと今でもガラケーで、ネットを使う環境にない。
今年は奮発して、いつもの焼酎に加えて、人気で希少性のある焼酎をネットで探すことにした。
焼酎の人気ランキングを調べた。
さらにAmazonのレビューを見てみた。
『この焼酎はフルーティ』
『旨味とまろやかさがある。』
とか
『栗の臭みを消し過ぎて逆に物足りない。』
とか
いろいろ書いてある。
みんな立派な舌をお持ちである。
私には焼酎は同じ味にしか認識できない。
日本酒もすべて同じ味に感じる。
決してお酒が弱いわけではないが、味の違いが分からないのだ。
志村けんは無類の焼酎好きだったそう。
志村けんの焼酎の飲み方にエピソードがある。
グラスに氷は入れず、ロックで飲むときに水を一滴だけいれる。
そして決してかき混ぜない。
なぜこの飲み方かというと、かき混ぜないことでグラスの中に焼酎と水の濃淡が生まれる。
そして、一口目と二口目で違う味を楽しめるのだとか。
なんと立派な舌だろうか。
とにかく、私には味が分からないので、ネット情報という文字を頼りに焼酎を選んだ。
お義父さんのお口に合えば良いのだが。
そんな私の舌にも合うワインがあった。
以前はワインなんて酸っぱいだけだと思ってた。
だが、成熟した大人になり、私も成熟したワインの味が分かるようになったようだ。
やっと私の舌に追いつくワインを見つけたのである。
これから私のご用達ワインにしよう。
そして結婚記念日の数日前。
私『ほら、あのクリスマスかなんかで飲んだワインがあったやか。あれ美味しかったき買ってきて。記念日に飲もうや。』
嫁さん『あれはアルコールが入ってなくて葡萄ジュースです。』
嫁さん『300円で美味しかったき買っておくね。』
私『Σ(°□°)⊃------マジッ?』
私が美味い美味いと飲んでいたワインは、葡萄のジュースだった。
ワインより葡萄ジュースのが美味しいのだから仕方がない。
金銭の節約になると私は思った。
これが身の丈というやつだ。
その日はスタジオで記念写真でも撮ろうと思っていたが、ウイルス感染を避けるためにスタジオは辞めにした。
自宅で普段着のままで、3脚立てて家族4人で写真を撮った。
スタジオよりナチュラルな表情でいい写真がとれたと思う。
その晩、嫁さんと葡萄ジュースを美味しく飲んだ。