歯医者ABC

 

 

Aの歯医者には、もう78年近く通っていた。

 

 

虫歯はすっかり治り、23ヶ月に1回メンテナンスで通っていた。

 

 

もう虫歯になって歯を削るのは嫌だ。

 

 

だから、コンスタントに歯石をとって歯医者にチェックをしてもらっていた。

 

 

 

 

削った虫歯は返ってこない。

 

 

歯は自然治癒力で治らない。

 

 

 

 

 

 

カイロプラクティックのお客さんに

 

 

『メンテナンスが大事だ。』

 

 

と口酸っぱく言っているので、私も歯のメンテナンスへマメに通っていたのだ。

 

 

 

 

 

いつの頃からか、右の奥歯の間に食べ物が詰まるようになった。

 

 

歯医者さん曰く

 

 

A歯医者『ここは詰まりやすいところなので、歯間ブラシをマメに行うように。』

 

 

その言葉を信じてメンテナンスに通っていたのだが。

 

 

 

 

何度か『やはり奥歯に食べ物が詰まりやすい』

 

 

と言ってみたが、やはり

 

 

A歯医者『ここは詰まりやすいところやからねぇ。』

 

 

と言うだけだった。

 

 

 

 

 

数ヶ月後、自分の舌で触っても分かるくらい大きな穴が空いてきた。

 

 

 

 

 

それを歯医者に言うと

 

 

A歯医者『これは凄い虫歯になってますねぇ。』

 

 

A歯医者『もしかしたら抜歯が必要かも。』

 

 

 

私は歯医者を変える決断をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Bの歯医者はネットの口コミも良く、評判もよかった。

 

 

万全を期すため、院長指名で予約した。

 

 

1回目の来店は11時の予約だった。

 

 

だが、私が呼ばれたのは12時半だった。

 

 

 

 

右奥歯の局所レントゲンを撮った。

 

 

B歯医者『うーん。ここがこうでこうなっちゅうかもしれんね。』

 

 

B歯医者『じゃあ次回、全体のレントゲン撮って決めようか。』

 

 

 

お会計をして時計を見たら1240分。

 

 

1時間半待ってこれだけ?

 

 

きっと私の番が昼休みまでズレこんでしまったから、ササっと終わらしたに違いない。

 

 

 

 

私が新参者だから、こちらの度量を試しているのかもしれない。

 

 

ここは我慢だ。

 

 

 

 

 

 

2回目来店。

 

 

やはり予約時間より3040分待ち、私の出番。

 

 

全体のレントゲンを撮った。

 

 

B歯医者『やっぱり、ここがこうなっちゅうねぇ。』

 

 

B歯医者『よし、次回ここを治療しようか。』

 

 

き・・今日は虫歯の治療やんねぇのかよ・・・

 

 

ガマンガマン。

 

 

 

 

 

 

3回目来店。

 

 

歯科助手さん『院長がまだ手が空かないので、先に歯石を取っていきますね。』

 

 

10分後。

 

 

歯科助手さん『院長の手が空かないので、今日はこれで終わりにしますね。』

 

 

 

なんだ?

 

 

ドッキリか?

 

 

『歯医者で暴れ散らすモンスタークレーマー41歳。(厄年)』

 

 

という題名で、暴れているところだけを編集して、YouTubeにアップされる可能性もある。

 

 

私はドッキリを警戒して、紳士的に振る舞った。

 

 

 

 

 

 

4回目来店。

 

 

歯科助手さん『院長が今日は手が離せないので、歯石をとりますね。』

 

 

分かった。

 

 

これはもはやドッキリではない。

 

 

私は思いの丈をぶちまけた。

 

 

 

 

坂本『今日で4回目ですけど、まだ歯の治療を1回もしてないんですよ。』

 

 

坂本『歯石は先週とりましたよね?』

 

 

坂本『今日は虫歯の治療をしてもらわないと困ります。』

 

 

吸ったもんだの末、副院長に右の奥歯を治療してもらった。

 

 

私は歯医者を変える決断をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

Cの歯医者は、名実ともに高知でNO.1と言われるところ。

 

 

Cの歯医者は、私の休みである水曜の営業日が少なかったので、選択肢から外していたのだ。

 

 

でも、散々な目に合ったのでNO.1に託すことにした。

 

 

 

 

 

 

Cの歯医者はやはり一流だった。

 

 

長年通っていた歯医者Aが、見落としている虫歯を見つけてくれた。

 

 

ノーマークだった左奥歯にも問題があった。

 

 

 

 

 

ここは銀歯を被せてある。

 

 

かなり虫歯が進行しているらしい。

 

 

銀歯を取ってみないと、この歯を土台にできるか、抜歯になるか分からないと言われた。

 

 

抜歯したら、入れ歯がブリッジかインプラントと言われた。

 

 

ものすごいプレッシャーだ。

 

 

検査の結果幸い抜歯の必要はなく、銀歯だった奥歯が綺麗な白い奥歯になった。

 

 

 

 

 

Cの歯医者には感謝しかない。

 

 

分かりやすい説明。

 

 

優れた技術。

 

 

柔らかい接客。

 

 

どれをとっても一流である。

 

 

 

 

 

 

長年通ったAの歯医者は、ことごとく重大な虫歯を見落としていた。

 

 

メンテに数年間通っていたのに、その間にどんどん虫歯が進行していた。

 

 

 

 

Bの歯医者は技術以前の問題があった。

 

 

時間を割いて予約してきた客との約束を、いとも簡単に何度も踏みにじった。

 

 

 

 

 

私もお客さんにジャッジされる立場だ。

 

 

私がお客さんにとってABの歯医者のようにジャッジされるのか。

 

 

Cの歯医者のように感謝されるのか。

 

 

肝に銘じておかねば。