卒園式当日は雲ひとつない晴天だった。
桜もきれいに咲いていた。
保護者は体育館で、園児用の小さな椅子に座って待つ。
長女の卒園式から3年。
思いだした。
椅子が低いのだ。
とにかく坐骨が痛い。
もちろん腰も痛い。
保護者の待機時間から、園児の来場まで40分もある。
うーむ。ケツが痛い。
40分後。
やっと卒園の園児達が体育館に入場してきた。
うちの次女が先頭である。
きっときっと、顔が可愛い順番で決めたに違いない。
前歯がない。
という手痛いハンディがありながらも、プクプクの頬っぺたと、つぶらな瞳で、キュートさは他の追随を許さない。
卒園の園児たちが歌を披露してくれた。
お風呂で次女から100回くらい聞いた歌だ。
歌は『こころのねっこ』
いつのまにか おおきくなった♪
いつのまにか なかよくなった♪
ないて わらった まいにちが♪
みんなの こころの バネに なった♪
中略
ここで すごした まいにちが♪
みんなの こころの ねっこになれ♪
お風呂で聞くのと違って、卒園式で聞くと・・・
効くなぁ。。゚(゚´Д`゚)゚。
体育館での行事が無事に終了。
ケツの痛みもなんとか耐えきった。
最後はグランドに移動して、風船を飛ばす。
子供達が短冊に夢を書いた。
親は子供への願いを短冊に書いた。
その短冊を風船に付けて飛ばすのだ。
次女の書いた願いは
『ケーキ屋さんになりたい。』
私達夫婦が子供へ書いた願いは
『次女の願いが叶いますように』
である。
勉強がたくさんできるとか、
良いところへ嫁いでほしいとか、
カイロプラクティックを継いで欲しいとか、
そんな願望はない。
娘がなりたいものになれれば、我々夫婦はそれで幸せだ。
何者になるかは、娘が自分で決めればいい。
次女はケーキ屋さん以外にもたくさん夢があったよーだ。
ドーナツ屋さん、動物園の飼育員、病院の先生、美容師さん、おもちゃ屋さん、歌手などなど。
本人は全部やりたいと言っている。
青空の中、願いを書いた風船が飛んでいく。
次女は何度もジャンプして大興奮。
両手を挙げて、指をさして風船の行方を見守った。
空を見上げる眼が輝いている。
娘も。
他の子も。
みんな輝いている。
風船が青空の彼方へ消えてゆく。
子供たちは無邪気に、青空を見上げて飛び跳ねている。
『もうみんなと会えなくなる。』
なんて寂しげな子はいない。
しんみりしているのは大人だけだ。
子供たちはもう、次のステージを見ている。
夢が短冊に書ききれないくらいあるから。
娘の夢は全部叶ってほしいなぁ。