家をでたのが朝の6時ジャスト。
ヤバい。
『遅刻すると村八分にあう』
なんて町内会のならわしあるかもしれない。
その日は不燃物のゴミの日。
ここへ引っ越ししてきて、初めての班長。
初めてのゴミ当番である。
ゴミの監視当番は朝の6時からだ。
急げっ。
現場に着くと、6時2分。
まだ誰もいなかった。
『ふぅ。一安心。』
数分すると40代の女性がやってきて声をかけてきた。
女性班長『初めましてッ。』
女性班長『△△班の○○ですッ。よろしくお願いしますッ。』
坂本『ど、ど、ど、どもども坂本です。』
自分が何班の班長かなんて知らない。
女性は町内の人に次々と挨拶して、声をかけながら分別していく。
女性班長『目覚まし時計はこっちです。』
女性班長『電池は抜いてますよね?』
女性班長『おはようございます。』
女性班長『ぬいぐるみもハンガーも燃えるゴミですよ。』
女性班長『可燃の日に捨ててください。』
すすす、凄い。
コミュ障の私にはできない芸当だ。
班長は分別マニュアルを熟読するべし、と嫁さんが言っていた。
私は一行も読んでない。
ゴミを捨てに来た町内の人に、指示できるわけもない。
仕方なく、ゴミを整頓するフリをして面目を保った。
女性班長は、後から来た町内会長おぼしき男性と顔見知りらしく、ずっと談笑していた。
きっと時期町内会長の座を狙っているに違いない。
私は今季、満を持して町内会の班長に抜擢された。
もちろん、人望とルックスを買われてだ。
そこで雨が降る中、ゴミ捨て場の前で立ってるわけだ。
大変な仕事である。
1ブロック横の町内会は、夜に粗大ゴミを捨てに来る人を監視するための監視員がいる。
1m四方のテントの中で、夜通し監視するのだ。
さらに過酷な仕事だ。
私にできるだろうか。
真夏の暑さ。
蚊に20箇所くらい噛まれるかもしれない。
真冬の寒さ。
大風邪をひくかもしれない。
今回のように、夜通し雨かもしれない。
孤独で泣いちゃうかもしれない。
そんな監視なんか、なくても良いような世の中にしなくてはいけない。
ここで一句。
小学4年の長女が、道徳の授業でゴミ問題の俳句を作ってきた。
ゴミ拾い 一人一人の 思いやり
最後に私も一句
ぬいぐるみ ハンガーTシャツ 燃えるゴミ