久万川探検隊

 

4長女の総合学習が、地域の自然やエコ活動を調べるというものであった。

 

 

お題はいくつかあって、その中で自分で決めてインタビューや見学に行ったり、本やネットで調べるのだ。

 

 

長女と協議した結果、インタビューに行く時間なんてない。

 

 

我々は久万川についてネットで調べることにした。

 

 

 

 

 

 

久万川の過去の水害やその対策、さらには生態系や水質に至るまで。

 

 

長女が寝た後でくまなく調べた。

 

 

くま川だけにね。(^^)b

 

私は一晩で久万川博士となった。

 

 

しかし、どう考えても小4の子が書く内容ではない。

 

 

 

 

 

 

嫁さんと協議の結果、久万川の上流や下流へ実際に行って、子供の目線で見て子供が感じた事をそのまま書いてもらうことになった。

 

 

どんな草木が生えているか。

 

 

水の汚れや透明度。

 

 

生育している魚や亀、鳥の種類。

 

 

川の流れの速さ、コケの有無。

 

 

捨ててあるゴミの有無。

 

 

などなど。

 

 

 

 

 

 

 

いざ決行の日。

 

 

小4の長女と小1の次女とで久万川へ探検に行った。

 

 

最近の川は、水が流れているところにまで草がビッシリ生えている。

 

 

私の背丈よりも高い草がニョキニョキある。

 

 

この草は竹の葉っぱらしく、繁殖力がすごいらしい。

 

 

 

 

 

 

この草がたくさん生えているのが、いい事なのか悪い事なのか、私には分からなかった。

 

 

タニシやハグロトンボ、アメンボ、コサギという白い鳥もいた。

 

 

次女が両手いっぱいにカワニナやタニシなどの貝を拾って、自慢げに見せてくれた。

 

 

近所の川だけど、探検していたらその中で自然をみつけ、愛着も湧いてくる。

 

 

娘が生んだ子供たちの時代も、鳥やタニシやアメンボがいてほしい。

 

 

 

 

 

 

さて、そろそろ探検も終盤戦。

 

 

 

 

なんだか胸騒ぎがする。

 

 

このまま無事に終わるはずがない。

 

 

私が子供の頃は必ず川に落ちるか、沼にはまるかをやらかしていた。

 

 

長女は私の遺伝子を色濃く受け継いでいる。

 

 

 

 

 

 

最後にあそこの護床工で写真を撮って終わりにしよう。

 

 

川岸まで降りたその時に、事件は起こった。

 

 

『バサバサバサッ。』

 

 

今まで書き溜めたレポート用紙を、長女はもれなく川に落とした。

 

 

急いで拾ったが、レポート用紙はビシャビシャのグチャグチャ。

 

 

長女は涙目。

 

 

 

 

 

いいぞ。いいぞ。探検隊っぽくなってきたゾ。

 

 

私は血湧き肉躍った。

 

 

探検は、アクシデントがあった方がワクワクする。

 

 

 

 

 

 

長女には

 

 

『失敗が人間を大きくする。』

 

 

と、父親らしい事を一応言っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

レポート用紙は破れさえしなければ問題ない。

 

 

私の経験上、この場合は紙を重ねたらマズイ。

 

 

引っ付いて剥がす時に紙が破れてしまう。

 

 

すぐ一枚一枚に分けるべきだ。

 

 

一枚一枚広げて、車のフロントで乾かした。

 

 

 

 

 

レポート用紙はシワシワ。

 

 

文字はかすれかすれ。

 

 

まるで古文書。

 

 

秘境にでも行って、命懸けで観察してきたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

今年の5月の夜。

 

 

私はランニングしていた。

 

 

久万川の前を通ったとき、蛍が飛んでいた。

 

 

私はなんだか、飛び上がるくらい嬉しくなった。

 

 

 

 

きれいな水と自然がなければ、蛍はいなくなる。

 

 

これから先、蛍が増えていくのか減っていくのか。

 

 

それは私たち次第だ。

 

 

 

 

来年の5月も久万川探検隊を再結成して、子供たちと蛍を見に行こう。