熱意とコミュニケーション

うちのお客さんで、耳が全く聞こえないAさんがやってきた。

 

 

聾者(ろうしゃ)である。

 

 

予約は代理の方がお電話くれた。

 

 

 

 

 

 

筆談でしか会話ができないので、なかなか細かい意思疎通ができない。

 

 

 

例えば、Aさんは整形外科に通っていて、

 

 

Aさん『もう病院は行かない方がいいですか?』

 

 

と聞いてきた。

 

 

 

 

普段の私なら

 

 

『病院ではどんな治療をしていますか?』

 

 

『注射なのか、痛み止めなのか、リハビリなのか。』

 

 

『経過は良いのか悪いのか。』

 

 

『医者の見解はどうなのか。』

 

 

といった事をヒアリングして、総合的に判断する。

 

 

 

 

 

その手の質問に関しては『YES』or 『NO』 だけでは答えられないのだ。

 

 

だが、そのやりとりを筆談でやると、かなり時間がかかる。

 

 

 

『病院にもう行かない方が良いか?』

 

 

と聞かれて、私は

 

 

『はい。』

 

 

とだけ紙に書いて答えてしまった。

 

 

 

 

 

筆談する時間もなかったのだけれど。

 

 

他に答え方とか、コミュニケーションの方法がなかったのかと反省した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからほどなく、外国人の女性のお客さんBさんが来店した。

 

 

欧米の方で、日本語は日常会話ならギリギリOKという感じだ。

 

 

相手は日本語が苦手。

 

 

私は英語が苦手、というか絶望。

 

 

英検18級よ。

 

 

『ディス イズ ア ペン』

 

 

しか言えない。

 

 

 

 

その方とはなんとかスマホの画面を見せ合ってコミュニケーションがとれた。

 

 

 

膝が痛い原因は、骨盤のなかの仙骨が後ろに飛び出していて、重心が前にきていると。

 

 

それで太ももの前が緊張していて、その影響で膝蓋骨が上に引っ張られて、しゃがむ時に上手く膝蓋骨が動いてないから痛いのだと。

 

 

だから骨盤の矯正が重要。

 

 

でもそもそも、自己免疫疾患があって、身体が炎症を起こしているから、関節が痛くなりやすい。

 

 

だから、骨盤と同時に炎症と関係のある、胸椎の7番も矯正していく必要がある。

 

 

 

ここまで細かく説明できた。

 

 

 

 

炎症とか重心とかを英語に翻訳して、あとは身振り手振りで伝えたのだ。

 

 

日本人が外国に行ってコミュニケーションが取れない人が多い。

 

 

それって、英語の文法を間違ってると恥ずかしいから、何も言えなくなってしまう場合が多いらしい。

 

 

文法なんてメチャクチャでも単語の羅列で伝わるのだ。

 

 

日本に来た外国人は、文法メチャクチャでも単語でバンバン攻めてくるから熱意で伝わるのだ。

 

 

 

 

 

外国の人は日本語が下手とか恥ずかしがらず、バンバン話しかけてくる。

 

 

こちらも英検18級の英語とスマホで、それに応える。

 

 

単語と熱意でコミュニケーションはとれる、と勉強になった。

 

 

 

 

 

 

ここで、私は聴覚障害のAさんを思い出した。

 

 

外国人のBさんにここまで伝わったんだから、耳の不自由なAさんにももっと伝えることが可能じゃないかと。

 

 

Bさんとコミュニケーションとる熱意が足りなかったんじゃないかと思った。

 

 

 

反省。

 

 

 

 

 

コミュニケーションは能力ではない。

 

 

熱意だ。