マスターズ2022

 

 

昨年、マスターズ陸上の参加を断念した後も、ジョギングは続けていた。

 

 

そこから少しずつ、レース用のトレーニングもするようになった。

 

 

 

 

 

 

年をとったらスタミナは付くけど、スピードは落ちる。

 

 

と、よく同世代のランナーから聞くけど。

 

 

私は全く逆な感じがする。

 

 

高校のときと比べて、スタミナは激減したけど、スピードはかなり戻ってきた気がする。

 

 

 

1500mよりも、もっと短くて、もっとハイスピードで走る800mの方が向いているかもしれない。

 

 

 

そう思い立ってから、出場するレースを800mに切り替えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に800mタイムトライヤルをしたときは散々だった。

 

 

このままでは大恥をかくと思った。

 

 

まだ始めたばかりだから。。。

 

 

と、自分を慰めた。

 

 

 

 

 

そこから練習メニューを修正した。

 

 

課題はスタミナだった。

 

 

400mでスタミナが切れてしまうのである。

 

 

 

 

 

今までは400×5本とかの練習をしていたけど、それをやめて600×2にした。

 

 

走る距離を伸ばして、本数を減らした。

 

 

それと筋力をつけるために、下半身の筋トレを始めた。

 

 

 

 

 

これで少しタイムが縮んだ。

 

 

さらにタイムを縮めるためにスパイクを購入した。

 

 

 

 

 

スパイクはシューズより格段に速く走れる。

 

 

そのかわり、シューズより格段に脚への疲労がくる。

 

 

さらに下半身の筋トレをした。

 

 

 

 

 

 

こうやって、課題を明確にして、克服してタイムを縮めていった。

 

 

こうやって、最初に妄想したタイムに近づいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、レースに向けて取り組んだおかげで、

 

 

逆算して物事に取り組む。

 

 

という良い経験ができた。

 

 

私は陸上トラックにスパイクで走ってみたかったのである。

 

 

 

 

 

高校の時、陸上部だったけど、専門が中距離ではなかったのでスパイクを履いたことがなかった。

 

 

あれを履けばどれだけ速く走れるか試してみたかった。

 

 

 

 

 

 

スパイクで走ると、

 

 

スパイクのピンが、ゴムのトラックに

 

 

『クックックッ』

 

 

っと食い込む音と感触を、初めて体験できた。

 

 

スパイクだと驚くほど速く走れる。

 

 

最高である。

 

 

 

400m1本なら63秒で走れた。

 

 

50mを8秒弱のペースである。

 

 

800mよりも、400mの方が勝機があるのかと思ったくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、スタミナをつけるために、けっこうハードなトレーニングをした。

 

 

 

 

ある日、嫁さんがお仕事休みの日に、トレーニングして帰ってきた。

 

 

そしたら、私の頬がコケていたのでビックリしていた。

 

 

頬がコケるくらい走っているのである。

 

 

頬がコケるくらい楽しかった。

 

 

 

 

 

さて、マスターズのレースが近づいてきた真夏のある日。

 

 

私は春野陸上競技場で、けっこう厳しめなトレーニングを行った。

 

 

 

 

 

その日はひどく暑い日で、日差しも強く34°くらいあった。

 

 

トレーニングを終えたその日の夜、夏バテで微熱がでてしまった。

 

 

 

昨年と同じ失敗をしてしまったのである。

 

 

 

 

 

 

流行りのウイルスが蔓延している真っ最中だったので、これは困った。

 

 

ここでウイルスに感染するわけにはいかない。

 

 

マスターズのためもあるが、なにより仕事ができなくなるのは困る。

 

 

 

 

 

マスターズよりカイロが大事だ。

 

 

トレーニングにのめり込んで体調を崩してしまった。

 

 

これはプロとして猛省である。

 

 

 

 

 

翌日に抗原検査を受ける。

 

 

私はその晩、眠りにつきながら悪魔と密約をかわした。

 

 

 

 

 

もうマスターズはでません。

 

 

だから

 

 

そのかわり

 

 

検査は陰性でありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、抗原検査をしてみた。

 

 

 

陰性だった。

 

 

私は肩を撫でおろした。

 

 

 

 

この日のうちに、マスターズ参加をスパッと断念した。

 

 

試合にでるなら、この後も真夏にハードなトレーニングをするだろう。

 

 

また体調を崩すだろう。

 

 

潮時だと思った。

 

 

 

 

私は悪魔との契約を守り、大会出場を断念した。

 

 

せっかくトーレーニングしてきたけど。

 

 

また来年。

 

 

こうして2年連続の断念となった。

 

 

 

 

 

 

1500m、800mと出場できなかった。

 

 

来年は400mにトライしてみよっかな。