昨年、マスターズ陸上の参加を断念した後も、ジョギングは続けていた。
そこから少しずつ、レース用のトレーニングもするようになった。
年をとったらスタミナは付くけど、スピードは落ちる。
と、よく同世代のランナーから聞くけど。
私は全く逆な感じがする。
高校のときと比べて、スタミナは激減したけど、スピードはかなり戻ってきた気がする。
1500mよりも、もっと短くて、もっとハイスピードで走る800mの方が向いているかもしれない。
そう思い立ってから、出場するレースを800mに切り替えた。
最初に800mタイムトライヤルをしたときは散々だった。
このままでは大恥をかくと思った。
まだ始めたばかりだから。。。
と、自分を慰めた。
そこから練習メニューを修正した。
課題はスタミナだった。
400mでスタミナが切れてしまうのである。
今までは400×5本とかの練習をしていたけど、それをやめて600×2にした。
走る距離を伸ばして、本数を減らした。
それと筋力をつけるために、下半身の筋トレを始めた。
これで少しタイムが縮んだ。
さらにタイムを縮めるためにスパイクを購入した。
スパイクはシューズより格段に速く走れる。
そのかわり、シューズより格段に脚への疲労がくる。
さらに下半身の筋トレをした。
こうやって、課題を明確にして、克服してタイムを縮めていった。
こうやって、最初に妄想したタイムに近づいていった。
でも、レースに向けて取り組んだおかげで、
逆算して物事に取り組む。
という良い経験ができた。
私は陸上トラックにスパイクで走ってみたかったのである。
高校の時、陸上部だったけど、専門が中距離ではなかったのでスパイクを履いたことがなかった。
あれを履けばどれだけ速く走れるか試してみたかった。
スパイクで走ると、
スパイクのピンが、ゴムのトラックに
『クックックッ』
っと食い込む音と感触を、初めて体験できた。
スパイクだと驚くほど速く走れる。
最高である。
400m1本なら63秒で走れた。
50mを8秒弱のペースである。
800mよりも、400mの方が勝機があるのかと思ったくらいだ。
その後、スタミナをつけるために、けっこうハードなトレーニングをした。
ある日、嫁さんがお仕事休みの日に、トレーニングして帰ってきた。
そしたら、私の頬がコケていたのでビックリしていた。
頬がコケるくらい走っているのである。
頬がコケるくらい楽しかった。
さて、マスターズのレースが近づいてきた真夏のある日。
私は春野陸上競技場で、けっこう厳しめなトレーニングを行った。
その日はひどく暑い日で、日差しも強く34°くらいあった。
トレーニングを終えたその日の夜、夏バテで微熱がでてしまった。
昨年と同じ失敗をしてしまったのである。
流行りのウイルスが蔓延している真っ最中だったので、これは困った。
ここでウイルスに感染するわけにはいかない。
マスターズのためもあるが、なにより仕事ができなくなるのは困る。
マスターズよりカイロが大事だ。
トレーニングにのめり込んで体調を崩してしまった。
これはプロとして猛省である。
翌日に抗原検査を受ける。
私はその晩、眠りにつきながら悪魔と密約をかわした。
もうマスターズはでません。
だから
そのかわり
検査は陰性でありますように。
次の日の朝、抗原検査をしてみた。
陰性だった。
私は肩を撫でおろした。
この日のうちに、マスターズ参加をスパッと断念した。
試合にでるなら、この後も真夏にハードなトレーニングをするだろう。
また体調を崩すだろう。
潮時だと思った。
私は悪魔との契約を守り、大会出場を断念した。
せっかくトーレーニングしてきたけど。
また来年。
こうして2年連続の断念となった。
1500m、800mと出場できなかった。
来年は400mにトライしてみよっかな。