お客さんでスウェーデンに数年住んでいた、という人がいる。
彼の話すスウェーデンは、まさに楽園のような国であった。
まず国民性だが、他人と争ったり、人の上に立つという概念があまりないそうだ。
代々そういう教えがあるらしい。
スウェーデンで数年暮らしていて、人前で怒っているのを見た事がないそうだ。
スウェーデン人は、シャイで温厚な人が多い。
スウェーデンは、一日中太陽が沈まない期間があったり、反対に一日中太陽が昇らない期間もある。
これを『白夜』とか『極夜』とかいう。
そこで、お家で過ごす時間を充実させるために、オシャレな北欧家具が生まれたそうだ。
スウェーデンでは、スーパーのレジ打ちをしている人で、十分に豊かな生活ができるらしい。
医療費・大学・給食費もタダ。
政府からの手厚い福利厚生があるので、お金への不安は少ない。
無理をして働く必要もない。
過剰な競争原理が働かないので、ブラック企業はない。
スウェーデンは、アメリカ的な弱肉強食の競争社会ではなく、共生、連帯の国である。
『苦痛を伴うような働き方はしない。』
というのが、国と国民の共通認識らしい。
それもこれも、スウェーデンが海洋資源に恵まれているという背景がある。
海からお金が湧いてくる国。
それがスウェーデン。
だから国民は温厚で、競争もなくスローライフを過ごせるのである。
資源のない我が国は、あくせく働いてお金を生み出すしかない。
北欧に憧れる日本人は多いけど、これだけバックグラウンドが違う。
うちのお客さんは、スウェーデンで住むことになったとき、通帳をつくるため銀行へ行ったそうだ。
銀行は混み合ってないのに、通帳をつくるのに延々待たされたそうだ。
銀行の窓口の人は、一人接客が終わるとコーヒーを飲む。
コーヒーを飲んだ後は、他の受付の人と談笑していたそうだ。
お客さんを待たせて。
日本では考えられないスタイルである。
いや。
せかせかしている日本が狂っているのだろうか?
日本人のなかでも、更に更にせかせかしている私は狂っているのだろうか?
少し考えてしまった。
スウェーデン人は、苦痛を伴うような働き方はしない。
なんで私は自営業で、苦痛を伴うようなせかせかした働き方を、自ら選んでしているのか?
分からない。
さっぱり分からない。
私がスウェーデンで10年くらい生活したら。
せっかちが治るんだろうか?
それとも、銀行やスーパーのレジで、ずっとイライラしているんだろうか?
もう少しゆとりをもって生きたい。
どうすればスウェーデン人みたいに、ゆったり温厚になれるのか。
分からない。
さっぱり分からない。