消しバト

 

次女『おとーさん、けしばとやろー。』

 

 

父『けつバット?』

 

 

次女『ちがう。けしばとー。』

 

 

 

 

消しバト(正式名は消しゴムバトル)という遊びが、いま若い世代で流行りらしい。

 

 

ルールは簡単。

 

 

自分の消しゴムを指で弾いて、相手の消しゴムにぶつけて机から落としたら勝ち。

 

 

 

 

 

 

長女『あたしもやる~』

 

 

次女『ぢゃあ順番きめよう。』

 

 

 

 

姉妹がジャンケンの掛け声を

 

 

最初はグー。

 

 

またまたグー。

 

 

いかりや長介あたまがパー。

 

 

正義は勝つ。

 

 

じゃんけんぽん。

 

 

とか言い出した。

 

 

 

 

 

 

すごい。

 

 

このフレーズは、我々の世代から子々孫々と受け継がれていたのだ。

 

 

姉妹は、いかりや長介が何者か知らないくせに。

 

 

最初はグーを発明したのが、志村けんだとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

ちなみに兵庫県加古郡の播磨町では、ジャンケンの掛け声が

 

 

『グーパー、どすこんべ』

 

 

だそうだ。

 

 

 

 

どすこんべ・・・

 

 

なんとキュートなかけ声。

 

 

うちの地元もどすこんべが良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、消しバトスタート。

 

 

長女は逃げ回って、相手が自爆するのを待つ戦術。

 

 

次女は相手を仕留める距離まで、慎重に詰めていく作戦。

 

 

私は果敢に攻めて、自爆するパターン。

 

 

消しバトは性格が反映される、とても哲学的なゲームなのである。

 

 

 

 

 

 

消しゴムにデコピンするだけのゲームに、姉妹はキャッキャと熱狂する。

 

 

次女は机の周りを走り回って、汗だくだ。

 

 

 

 

結局、私は一度も勝てなかった。

 

 

うーむ。

 

 

私の消しゴムが小さすぎて、いくらアタックしても弾き返されてしまう。

 

 

 

このゲームって、ほぼ消しゴムの大きさで勝敗が決まるのでは?

 

 

という疑問はソッと胸におさめ、私は果敢にアタックした。

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな相手にも、こうやって果敢にアタックするんだ。

 

 

という父の無言のメッセージは、姉妹に届いただろうか。