命の選別のクイズがある。
有名なトロッコ問題だ。
トロッコのブレーキが壊れてしまって、このままいくと5人の命が失われてしまう。
私の目の前に線路のハンドルがあって、ハンドルを変えれば、線路の向きが変わる。
でもその線路には1人の人間がいる。
さて、ハンドルの向きを変えるか否か。
これは答えのないクイズ。
ある人を助けるために、他の人を犠牲にするのは許されるか？
亡くなるのは5人より1人がいいのかもしれない。
でも、自分の手を下してトロッコの方向を変えてしまってよいのか。
まともな人間なら躊躇する。
では、その1人が老人なら？
犯罪者なら？
命に優劣はあるのか？
これは命の重みの問題であって、実際にはこんなシチュエーションはないのかもしれない。
実はこの問題を解決するよう、人類は迫られている。
まもなく始まる自動運転。
自動運転とはAIがすべて判断する。
だが、AIがそのシチュエーションによって、どう判断するかは、人間があらかじめ決めて、プログラミングしなければならない。
車がトラブルで、ブレーキが効かなくなった。
右にはヘルメットをしているオートバイが走っている。
左にはヘルメットをしていないオートバイ。
どちらに突っ込む？
ヘルメットをしているバイクの方が、車で突っ込んでも重症にならないのではないか。
という見方もある。
しかし、ルールを守ってヘルメットをしている側に突っ込んで、ルールを守っていない側を助けるのが倫理的に正しいのか？
どちらが正しいのか、人間がプログラミングしなければならない。
ではブレーキが効かなくなった時、
右に行けば歩行者。
左に行けば壁に激突。
どちらに曲がる？
これもとっさの判断ではなく、自動運転なら人間があらかじめプログラミングしなければならない。
罪のない歩行者を傷つけるのは、さすがに気が引ける。
では、自分が壁に激突する？
このようなケースで
『壁に激突する』
とプログラミングされている車に、果たして人間は乗る事ができるか？
私はとても家族を乗せられない。
では、
右が青信号の老人で、
左が信号無視した子供なら？
どちらに突っ込む？
歩行者が犯罪者なら、突っ込んで良いか？
誰にも判らない。
いろんなケースのアンケートを、世界中の人々から集計しているらしい。
なんでも4000万人から集計したとか。
残念ながら、私のところにはアンケートが来なかった。
もしトロッコが娘に向かっている場合、私は躊躇なくトロッコの方向を変える。
その方向に10人がいたとしても。
娘1人の命と、他人の10人の命だったら、娘を選ぶ。
人間とは所詮、その程度のエゴから抜け出せない生き物なんだと思う。
ちなみに冒頭の有名なトロッコ問題。
趣味で鉄道ジオラマ作りをしている、B作さんという方がYouTubeにあげた動画が話題になっている。
トロッコが分岐を超える瞬間に、分岐のレールを切り替える。
すると、トロッコが脱線して止まる。
という動画だ。
『倫理の問題に、技術で答えを出した。』
とこの動画は絶賛された模様。
右と左どちらを犠牲にするか。
ではなく、どうやって全員を助けるか。
常に第3の選択肢を考えて、技術は進歩してきた。
人間のエゴはなくらない。
だから、それを超える解決法を編み出していく。
これが人類の進化だと思う。
自動運転も、みんなが助かる方法を導きだしてくれば良いが・・・