40歳以上の陸上の大会。
高知マスターズに私は参加した。
8月13日。
とんでもなく暑い日だった。
私の出場する400mがスタートした。
暑さのせいか、いつも通り体が動かない。
200mですでにキツい。
しかし、私は記録を狙っていたため、そこから無謀にもペースアップした。
もちろん、ラスト100でかなりキツくなってきた。
脚が痙攣してきた。
視界が狭くなってきた。
脚がつった?
でもゴールしないと。
・・・・
気がつくと、私はゴールラインでうずくまって、立てないでいた。
車椅子に乗せられ、スタッフの方が氷を首に当てていた。
自分ではゴールしたのか、途中リタイヤしたのかも分からなかった。
とにかくゴールはしたらしい。
でも、想像の範疇にない結果だった。
ゴールした後、県記録を更新して、胴上げされているはずが。
現実は車椅子に乗っていた。
うーむ。悔しい。
『たられば』を言うのは、男らしくないから好きではないけど。
もうちょい涼しかったら良かったのに。
脚がつっていなかったら世界記録やったに。
でも闘った結果だから、仕方ない。
勝った人がカッコいいのではなく
闘う人がカッコいいのである。
長女が『この失敗がいい経験になったやん。』
と言っていた。
さすがは長女。
もし、私と長女が逆の立場だったら、同じ事を長女に言っただろう。
家に帰って、レースのビデオを観た。
ラスト100mは動きがおかしい。
家族が、『ガンバレー』と応援してくれていた。
脚がつって、歩き始めたときには
『お父さぁん・・・』
という、次女の哀しげな声もビデオにはいっていた。
この声は一生忘れられない声だ。
子供にこんな哀しい声をださせてしまった。
これは、お父さんが刑務所にはいるときに娘が発する
『お父さぁん・・・』
の声だ。
子供たちも、いつか部活や仕事でこんな大失敗する日もくるだろう。
そんな時は、今日の父の姿を思い出してほしい。
少しは気楽になるだろうから。
そんな事も人生にはあるのサ。
そんなに悩む事じゃないのサ、と。
私のタイムは62秒。
ラスト100mで横を並走していた人のタイムが58秒。
4秒差だ。
足がつってゴールまで歩いた時間は、たった2~3秒という計算になる。
自分では20~30秒間、トラックを歩いた気がする。
それだけキツくて、長く感じだだけかもしれない。
途中でスタッフに止められて、リタイヤした気もする。
でも映像を観たら自分の足でゴールしていた。
こんな事初めてだけど、あんまり記憶がない。
『足がつったんじゃなくて、熱中症じゃない?』
と嫁さんに言われたけど、自分じゃよく分からない。
今回の世界陸上も、暑さのせいか脚をつる選手が続出している。
彼らも意識が朦朧としているのかもしれない。
うーん。
力を出し切ったとは言い難い。
香川マスターズが10月21日。
まだ締め切りに間に合う。
記録を狙うにもちょうど良い季節だ。
うーむ。でるか?
嫁さんが香川マスターズの募集要項の記事をメールですぐ送ってくれた。
さすがはウチの嫁さん。
私の性格をよく知っている。
私はこのレースですっぱり陸上を辞めて、カイロの勉強に専念しようと思っていた。
だから家族をレースに呼んだ。
なのにまた、トレーニングに勉強と、労力を二分してしまっていいのか悩んでいた。
でも嫁さんが
『いいんやない?』
と背中を押してくれた。
走り終わって1時間後には香川マスターズへの問合せをした。
性懲りも無く、また走る。
人生は何度でもトライできる。
そんな姿を娘たちには見せよう。