高知マスターズ②

40歳以上の陸上の大会。

 

 

高知マスターズに私は参加した。

 

 

8月13日。

 

 

とんでもなく暑い日だった。

 

 

 

 

 

 

 

私の出場する400mがスタートした。

 

 

暑さのせいか、いつも通り体が動かない。

 

 

200mですでにキツい。

 

 

しかし、私は記録を狙っていたため、そこから無謀にもペースアップした。

 

 

もちろん、ラスト100でかなりキツくなってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脚が痙攣してきた。

 

 

視界が狭くなってきた。

 

 

脚がつった?

 

 

でもゴールしないと。

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

気がつくと、私はゴールラインでうずくまって、立てないでいた。

 

 

車椅子に乗せられ、スタッフの方が氷を首に当てていた。

 

 

自分ではゴールしたのか、途中リタイヤしたのかも分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

とにかくゴールはしたらしい。

 

 

でも、想像の範疇にない結果だった。

 

 

 

 

 

 

 

ゴールした後、県記録を更新して、胴上げされているはずが。

 

 

現実は車椅子に乗っていた。

 

 

 

 

 

 

うーむ。悔しい。

 

 

『たられば』を言うのは、男らしくないから好きではないけど。

 

 

もうちょい涼しかったら良かったのに。

 

 

脚がつっていなかったら世界記録やったに。

 

 

 

 

 

 

 

でも闘った結果だから、仕方ない。

 

 

勝った人がカッコいいのではなく

 

 

闘う人がカッコいいのである。

 

 

 

 

 

 

長女が『この失敗がいい経験になったやん。』

 

と言っていた。

 

 

さすがは長女。

 

 

もし、私と長女が逆の立場だったら、同じ事を長女に言っただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰って、レースのビデオを観た。

 

 

ラスト100mは動きがおかしい。

 

 

家族が、『ガンバレー』と応援してくれていた。

 

 

 

 

脚がつって、歩き始めたときには

 

 

『お父さぁん・・・』

 

 

という、次女の哀しげな声もビデオにはいっていた。

 

 

 

 

 

この声は一生忘れられない声だ。

 

 

子供にこんな哀しい声をださせてしまった。

 

 

 

これは、お父さんが刑務所にはいるときに娘が発する

 

 

『お父さぁん・・・』

 

 

の声だ。

 

 

 

 

 

 

 

子供たちも、いつか部活や仕事でこんな大失敗する日もくるだろう。

 

 

そんな時は、今日の父の姿を思い出してほしい。

 

 

少しは気楽になるだろうから。

 

 

そんな事も人生にはあるのサ。

 

 

そんなに悩む事じゃないのサ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のタイムは62秒。

 

 

ラスト100mで横を並走していた人のタイムが58秒。

 

 

4秒差だ。

 

 

足がつってゴールまで歩いた時間は、たった2~3秒という計算になる。

 

 

自分では20~30秒間、トラックを歩いた気がする。

 

 

それだけキツくて、長く感じだだけかもしれない。

 

 

 

 

 

途中でスタッフに止められて、リタイヤした気もする。

 

 

でも映像を観たら自分の足でゴールしていた。

 

 

こんな事初めてだけど、あんまり記憶がない。

 

 

 

 

『足がつったんじゃなくて、熱中症じゃない?』

 

 

と嫁さんに言われたけど、自分じゃよく分からない。

 

 

 

今回の世界陸上も、暑さのせいか脚をつる選手が続出している。

 

 

彼らも意識が朦朧としているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

うーん。

 

 

力を出し切ったとは言い難い。

 

 

 

 

香川マスターズが1021日。

 

 

まだ締め切りに間に合う。

 

 

記録を狙うにもちょうど良い季節だ。

 

 

うーむ。でるか?

 

 

 

 

 

 

嫁さんが香川マスターズの募集要項の記事をメールですぐ送ってくれた。

 

 

さすがはウチの嫁さん。

 

 

私の性格をよく知っている。

 

 

 

 

 

 

 

私はこのレースですっぱり陸上を辞めて、カイロの勉強に専念しようと思っていた。

 

 

だから家族をレースに呼んだ。

 

 

なのにまた、トレーニングに勉強と、労力を二分してしまっていいのか悩んでいた。

 

 

でも嫁さんが

 

 

『いいんやない?』

 

 

と背中を押してくれた。

 

 

 

 

 

 

走り終わって1時間後には香川マスターズへの問合せをした。

 

 

性懲りも無く、また走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人生は何度でもトライできる。

 

 

 

そんな姿を娘たちには見せよう。