総務部長

今期から、小学校の保護者会の総務部にはいった私。

 

 

もちろん立候補者がいなくて、くじで決定した。

 

 

そして本日、前期から来期にかけての保護者会の引継ぎがあった。

 

 

 

 

 

 

 

おもな内容はこうだ。

 

 

●簡単な1年間の行事説明。

 

 

●新しい総務部長の決定

 

 

 

平日の午後7時から、小学校で保護者会議となった。

 

 

仕事を早めに切り上げ、急いで筋トレして、いざ小学校へ乗り込んだ。

 

 

 

会議場所は、うちの子がお世話になった学童教室だ。

 

 

19時ギリギリに到着。

 

 

教室の奥は総務部で、手前は体育部が集まっていた。

 

 

数えてみると、体育部は保護者会役員21人中16人出席。

 

 

総務部は13人中4人しか来ていない。

 

 

 

 

 

 

 

この3人のなかで、総務部長、副部長、会計の3人を決めなければならない。

 

 

非常にマズい。

 

 

私は会社員のとき、平社員しか経験しなかった。

 

 

だが、ここへきて一気に総務部長に昇進しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

前期に総務部長を務めた女性の方が、簡単な仕事内容を説明して、

 

 

現総務部長『誰か総務部長をしてみたい人はいませんか?』

 

 

一同『シーン・・・』

 

 

 

 

 

 

現総務部長『ははは・・。やってみたら案外簡単で楽しかったですよ(苦笑)』

 

 

いやいや。今のあなたがすでに大変そうだよ。

 

 

と、心のなかで突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤバい。

 

 

このまま硬直状態が続けば、くじで決まることになりそうだ。

 

 

私は極端にくじ運が悪い。

 

 

くじで保護者会役員が決定し、さらにくじで総務部長にまで大出世してしまいそうだ。

 

 

 

 

 

 

このまま、ズルズルくじで負け続けると・・・

 

 

1年後には保護者会会長。

 

 

3年後には名誉会長にまで出世してしまいそうだ。

 

 

10年後には校門前に私の銅像が立つかもしれない。

 

 

それだけは避けたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私には一つの駆け引きがあった。

 

 

『私は土日も仕事なので、総務部長はできません。』

 

 

『しかし、会計ならなんとかやります。』

 

 

と先に会計に立候補しておけば、総務部長を決めるくじには参加しなくて済む。

 

 

しかし、できれば会計もしたくはない。

 

 

 

 

 

 

誰かが総務部長の手を挙げるプランA。

 

 

 

 

 

いよいよ『くじで総務部長を決めよう。』

 

 

となった瞬間に、会計に立候補して総務部長からは逃れるプランB。

 

 

 

 

 

万が一、誰か別の人が先に

 

 

『会計ならやります』

 

 

と手を挙げられたら、爆速で

 

 

『ぢゃあ私が副部長ならやります。』

 

 

と手を挙げて、総務部長になる確率を根絶するプランC。

 

 

そこまでシミュレーションはできている。

 

 

 

 

 

 

さあどうだ。

 

 

誰か総務部長の手を挙げるか。

 

 

はたまた、会計の手を挙げそうな人はいるか。

 

 

うーむ。

 

 

みんな下を向いてフリーズしている。

 

 

やはり、くじになりそうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時、遅れて総務部に2人やってきた。

 

 

よし。これで確率が下がった。

 

 

 

 

 

また一から現総務部長が年間行事の説明を始めた。

 

 

また膠着状態が続く。

 

 

体育部はとっくに部長が決まって解散している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さあさあ、プランAかBか、はたまた・・・

 

 

そこで、隣の男性が

 

 

『ぢゃあ僕がやる。』

 

 

と総務部長の手を挙げた。

 

 

凄い男気だ。

 

 

 

 

 

 

 

こうなると、先ほどまで、いかにして総務部長を避けるか画策していた自分が情けなくなる。

 

 

手を挙げた新総務部長は、男を一つ上げて、私は男を四つほど下げた。

 

 

 

 

 

 

総務部長の仕事は、まずは今日来なかった総務役員7人に、連絡をとることから始まる。

 

 

本当に頭が下がる思いだ。

 

 

先生方との歓送迎会、運動会やお祭りの運営、お金の管理、プリントの作成、その他会議やほかの役員への伝達事項などなど。

 

 

誰かが毎年やってくれていて成り立っている。

 

 

 

 

私もやれるだけのことはやろう。

 

 

と心に誓った。