長女が中学にはいって、はじめての運動会。
私は仕事で見に行けなかった。
その日の朝。
長女が
『おとーさん。早く走るコツ教えて。』
毎年、運動会がの直前にだけ聞いてくる質問。
徒競走で負けたくないのだろう。
父『足の母指球らへんで地面を蹴ってみいや。』
父『かかととか、全体やと地面の反発がもらえんし、着地が長くなるきね。』
父『足のつま先だけなやくて、母指球で。』
長女『分かった。』
そう言って玄関を出ていった。
かかとから着地すると、着地の時間が長くなる。なにより反発がもらえない。足の裏全体で着地してもおなじ。いま流行りのフォアフットというケニア人なんかがやる走り方が研究されているが、これはつま先だけで地面を着地してつま先だけで蹴り上げると解釈する人もいる。しかし、フォアフット走法は実際は足の真ん中から先までで着地して地面をとらえるというのが正しい。なぜならつま先だけなら長母指伸筋とアキレス腱までしか使えないが、足の真ん中で着地した方がもっと大きな中殿筋のパワーを使うことができるのだ。
ここまで言うと長いので、ギュギュっと短くして
『足の母指球らへんで地面を蹴るべし』
と伝えたのである。
朝から15時くらいまで、暑いなかを嫁さんは小学4年の次女を連れて見てきた。
大変だったろう。
私は家に帰ってエアコンの効いた部屋で、長女の出番だけ総集編を15分で観た。
楽ちんだった。
徒競走は、なんと10人で走った。
こんなに多人数で走るのか。
衝撃である。
長女は10人中、2位だった。
ちなみに、責任リレーも走っていて見事大役をはたした。
そんな事よりも、二人三脚が素晴らしかった。
長女は仲の良いお友達とペアを組んだ。
最初は出遅れたが、中盤で他の組を抜いていった。
最後の障害物のゴムも難なくクリアして、接戦を制し1位でゴール。
よほど嬉しかったのか。
笑顔で相棒の肩を何度も叩いて、健闘を祝した。
٩(*´ᗜ`)ㅅ(ˊᗜˋ*)وイエーイ♪*˚
羨ましい。
長女は青春真っ只中だ。
家では見せない、青春の顔をしていた。
私も運動会だけなら、中学の時に戻りたい。